第17話 一仕事を終えて
「それでも変えられないんだよ。いいか? 男ってもんは一度決めたら妥協なんてするもんじゃねぇのさ! ――より高い山を制してこその達成感と充実感を味わえるってもんよ!」
「わ~エレぴったら相変わらずぅ。ヨ、サイテーな身の程知らず!」
そう言ってラティがエルの背中をバンと叩く。
思わず冷たい視線をエルへと向ける。
じ~……。
「な、なんだよ?」
「アンタ達って昔からそんな感じなワケ? ……ちょっとついていけない、いきたくない」
「おい引くなよ」
ある意味でお似合いかもねこの二人。エルのノリに合わせられるなんて、そういう意味じゃ貴重でしょうけども。
(やっぱり彼女、エレトレッダと近くないか? 色々と。ラティ侮りがたし、だな)
「ねえ、ティターニもそう思うでしょ?」
「え? あ、ああそうですね。お二人共仲がよろしいようで……ええ本当に羨ましい限りですわ」
「ティリ……ティタちんちょっと目が怖~い」
◇◇◇
何事も無く依頼を達成した私達はその後、坑道の入り口でラティと別れギルドへと意気揚々と帰るのであった。
外はもう夕暮れ。肌寒さも感じる時間ね、季節的にも。
「で、どうよ? 初めての冒険者の仕事ってヤツはよ? 俺程のベテランがついていてお前ラッキーだぜ。一人じゃ、もう無理~って言って泣きながらションベン漏らす羽目になったかもしれないんだからよ」
何その言い方? もう、人の事馬鹿にしちゃってさ。
「んなワケないでしょうが。まあ、色々大変だったけど……、悪くはなかったかな」
これは正直な感想。里へと帰ればそれなりだった私も、こっちじゃまだ勝手も分からないし。
そうね、そういう意味じゃコイツに助けられたかも。
「わ、私も! 中々刺激的な体験が出来て嬉しい限りです。今日という日は人生の記念となる事でしょう」
どうやらティターニも満足していたようで。……満足? うん、ここは素直に私も満足していたと思いましょう。
「ほほう、流石はティターニだな。そうだぞ、初めての冒険……それも俺程の男にリードされての体験なら一生もんだよな。しかしラゼク、お前にしたって珍しく素直じゃないか」
でもね、このお調子男。そのまま伝えたら間違いなく天狗になるわ。
「アンタに褒められると正直ムカつくわ。だけどまぁ、アンタのお陰でこうして生きて帰れてるわけだし。そこは感謝してるっていうか……」
「ああん? 全然聞こえねーなぁ? もっと大きな声で、ありがたみを目いっぱいに含んで感謝の言葉を」
「調子にノるんじゃない!」
「痛っ。ぼ、暴力はよくない」
「ちょっとお二人とも!? 人の往来が無いと言ってもそういった喧嘩ははしたないかと……」
ふんだ! やっぱりビシっとしてなきゃダメね。
(やはり、彼女は要注意人物だな。エレトレッダともうあんなに接近する仲になるなんて……!)
ただ、コイツには経験がある。冒険者としての経験では勝てないのも本当だし、何だかんだそれは今日の依頼でも見えた。
生意気なヤツだけど、そこはちょっとは頼りに出来る……かもね。
(ま、少しは見直したって事で)
ちょっとしたアクシデントはあったけど、初のパーティプレイで得たモノは多い。
例えばこの……。
(この写真も、中々綺麗に撮れたじゃない。うんうん!)
(ヘっ、嬉しそうな顔しちゃってよ。そうしてりゃあ、素直に可愛げがあるってのによ)
(な、何故彼女の横顔をじっと見てるんだ!? い、いやこんな事は焦る程の事じゃないはずだボク!)




