第16話 ノリノリ彼女
「アハハ! ごめんごめん、あーしったら知り合いと勘違いしちゃってさ~」
「ああ、何だそうだったのか?」
話し合いから戻って来た二人。その内容は知り合いと勘違いしたラティに対する訂正だったみたい。
でも何か引っかかるのよね。じゃあの大声は何だったんだの?
それにわざわざ二人でヒソヒソ話をする必要も分かんないんじゃない?
まあ、考えても仕方ない話だけれども。
「それでさぁ、ねね? おネーさん名前なんてーの? 歳いくつ? スリーサイズは?」
「いきなりなんなのよ? 私はラゼク・サトーエン。年は十八で、スリーサイズは……って言うわけないでしょ!!」
「うんうん言わなくても分かっちゃうぜ。だからエレぴも塩対応なんだ、あーしとおそろー。塩いモン同士仲良くしようべ、ラゼたん」
いや、確かに胸の感じとか同じ位だけどもさ……。
「う、嬉しくない繋がりね。あと勝手に変なあだ名つけないでくれる?」
「あはは、いいじゃ~ん」
もう、ほんとノリノリな子ね。そういえばエルの一つ下って事は私と同い年よね。
(こいつら意外と仲良くなってない? 胸に栄養が行かないもの同士で気でもあったか? ま、好きにしてくれ。俺の知ったこっちゃないってね)
あれ? なんか今失礼な事思われた気がするわ。思わず耳がピンとしちゃった。いけないいけない。
「どったのラゼたん?」
「いえ別に。……ってだからそのあだ名は――」
「そういやお前一人か?」
エルに遮られた。もうこれじゃ訂正出来無いじゃない。
「そそ。今はバラバラに依頼とか受けてんの。今日は久々ダンジョン探検に来たんだけど、まさかこんな所でエレぴに遭うとか、ちょ~運命的な再開っしょ! まさかパーティ抜けるなんてねぇ。そんなにティリちんにしごかれたくなかったん?」
ティリちん? 名前じゃなくてあだ名なんでしょうけど、その人がエルを追い出した人って事?
確かにこの男、腕の方はいまいち分からないけど、扱うには大変よね。
……うん? 一瞬ティターニの体がピクっと動いたように見えたけど、気のせい? まあいいや。
「ケ、アイツがどうしても泣いて引き留めるってなら話は別だがな。ま、それでもおっぱいの大きい女を追い掛けるのを止めろだなんて許容できる問題じゃないがよ」
「ブレないよねエレぴってば。あ、でもあーしのせいでもあったりする?」
「よーくご存じじゃねーの。聞いたぜ? 全員一致で俺の女性観を変えようってんだ、そりゃ出て行きもするってもんよ」
「仕方ないじゃん、メンバー全員おっぱいがちっちゃいんだから。まぁあーしはともかく、他のみんなコンプレックスをチクチク刺されてイラっちゃってたしぃ」
じゃあ仕方ない。毎日のように胸の大きい女の人を追いかけたり、人のコンプレックス刺激してくるんだもの。
……やっぱり、コイツと組んだのは間違いだったかも。




