第7話 状況整理
近くの木を縦ロールで加工して、くつろげる椅子を作った香峯子は、状況を整理する。
まずは自身のことだ。
病院のベッドでキュン死したはずなのに、なぜか服装は高校の制服、靴も履いている。
ちなみに制服も靴も、香峯子専用の物だ。
「病衣を着ていたはずなんですが……まあ制服姿で良かったですわ」
病衣も香峯子専用のもので、日本刀で切られても傷一つつかないものではあるが、着慣れている制服で良かった。
「髪も身体も、いつも通り動きますわね」
いつも通りのパフォーマンスで身体も動くし縦ロールも動いた。
これなら武装集団などに襲われても問題なく対処できる。
「ということは……魂だけがこっちに来た――と見た方がよろしいでしょうか」
肉体ごとこの世界に来たのなら病衣だし、身体もまだ本調子じゃないはずだ。
魂だけが移動したとしても、なぜ肉体を持っているか。それは今考えなくていいことだろう。
「だとすると、助けが来るまでは一週間……と考える方がいいですわね」
一週間もあれば望杉家がなんとかするだろう。
それまでこの治安の悪い世界で過ごさなければならないが……。
「ああん! 早く会いたいですわ‼」
愛しの彼に会いたい香峯子は身をくねらせる。
斯くして、望杉香峯子の異世界生活(期限付き)が始まるのであった。




