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第17話 見つからない
音の発生源であろう場所へやって来たクレリアム。
眼下に広がる大穴を目にして口の端を吊り上げる。
「素晴らしい……」
想像以上の光景が広がっていた。
一帯が更地になっているかと思えば、まさか一帯がくり抜かれているとは。
僅かに残っている部分から察するに、ここは集落かなにかだったのだろう。
いったいどうやったのかなど、考えることは無駄だ。それだけの力を持っているなんてことは分かり切っていたのだから。
しかし困ったことに、災厄がどこへ行ったのか、クレリアムには分からない。
この穴は十中八九災厄のせいだと分かっているが、行方は分からない。
人を探す魔法や魔術なんてものは無いし、使い魔と自らの足で地道に探す以外道は無い。
この移動速度だ、もう遠くに行っているかもしれない。クレリアムは再び自らの血を用いて人型を作り出し四方へ散らす。
そしてクレリアム自身も、人が集まる場所へ飛んでいくのだった。