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第13話 気持ち悪いのは他人の血
災厄を探すため、クレリアムは自身の腕を軽く切り血を滴り落とす。
真っ黒な血が地面落ち、それぞれが沸騰。ぶくぶくと膨れて人型を形成する。
その姿は、真っ黒なフード付きのローブを身に付けており、顔は何故か、クレリアム自身も認識できない。
クレリアムは地上に降りると、人型はクレリアムの前に集まる。
既に腕の切り傷は塞がっている。
「行け」
人型はクレリアムの血からできた存在だ。
そのため、なにも言わずとも、クレリアムの思惑通りに動いてくれる都合のいい道具だ。
これも魔法の一種である。
自らの血で創る、人型の使い魔のような存在。
一人で探すより、圧倒的に効率がいい。
それに、もし災厄と遭遇して、やられても、クレリアムにはダメージは無い。それどころか災厄の居場所が分かってしまうという便利仕様。
初めからこうすればよかった。
クレリアムは自分に苛立ちながらも、自らの足でも災厄を探すのだった。