誓約
この話はBLです。
BLが何か分からない 知っていても免疫がない
そういう方はすぐに引き返した方がいいかもしれません
ご観覧の後の苦情は一切お受け取りしませんので重々承知でお願いします。
今回は男同士のキスがあります。それも踏まえて読まれてください
BLはいいけどキスは…っという人達はお引き返しになったほうがよろしいかと思います。
下僕宣言を受けたオレは今どうすればいいのか、必死に考えていた。
どうやったらこの状況を打開できるのかを
「えっと、あのね…ッ、そういう遊びはよそでやってね?」
優し眼な口調で語りかけると彩花とう少年はスッと瞳を細くしてパッとネクタイを離した。今度は同じことの繰り返しにならないようにバランスを取ったおかげで尻もちをつくなどという無様な恰好にならなくてすんだ。
だけど未だ危機には変わりがない。少年の目がかなりの苛立ちをこめているのは誰にでも分かったし、その原因はオレなんだってこともすぐに分かった。多分子供扱いされたことに苛立ちを感じているのだろう
「お前、このボクを子供扱いしてただで済むと思うなよ…この下僕風情が!!」
「だから!オレは下僕になんてならないから!!」
話が噛みあっていない。もうこれ以上話しても無駄だと思うのでオレはこの場から退散することに決めただが、一向に体が動かない。可笑しいな、なんで動かないんだろう。そうだこの感覚はこの洋館に入ったときと同じ感覚だ。
自分の意思じゃないんだけど、金縛りってわかでもなくて。本当にオレがこの突っ立ってるを望んでいるようなそんな感じ、言葉ではそれ以上で言い表せられないが。どうか理解してほしい
「まったく、見える眼だから優しく扱ってやったものの…こんな口を慎むこともしらない下界のものだったとはな」
「なっ、なに…言って」
「まあいい。これから調教すればいい話しだ。」
こんな子供の言葉から発していい単語じゃない単語が口から飛び出していく。まるでオレより大人の様な言葉遣いとそれと裏腹の子供的思考。自分が欲しいと願ったら必ず手に入れるという欲望が入り混ざったような声
オレの反抗的な瞳に少し眉を顰めながら彩花はいい事を思い突いたように無邪気と小悪魔の中間地点ぐらいの微笑みでオレに笑いかけた。
「では、そうだな。お前がボクの下僕になるというのなら…貴様の目…見える眼のことを教えてやってもいい。あわよくば、ボクにちゃんと尽くす事が出来たなら、その見える眼を取り払ってやってもいいぞ。どうだ優しいだろ?」
優しいくもなんにもない言葉にオレは息を飲んだ。でもその悪魔の様な言葉にオレの心はかなり揺れ動いていた。オレのこの目の事をよく知っているような素振りとなにより一発でオレの能力を分かったこと
オカルト的なモノを否定することができないオレにとってはその見える眼の事が気になってしょうがないのだ。自分の能力の事はよく知っておきたいのも事実だし、なにより彩花の最後の言葉にだって甘い誘惑さへ感じたのも事実
この能力を無くしてくれるっというその誘惑はオレにとって願ってもいないチャンスでもあった。彩花が言っていることが嘘である可能性も十分高いわけだが、オレはそんな1%にも満たない可能性を信じたくてしょうがない
こんな能力がなくなれば―――きっと、今まで以上に普通に近づけるはずだから
「どうやら決意は固まったらしいな。お前の答えを聞かせてもらおうか?」
「オレ…の、答えは―――」
もうオレの答えは決まっていた。オレは1%にも満たない可能性を信じることにした。たとえこの少年が嘘をついていようと今はそれでも構わない。それが今の硬直状態を打開する方法になるなら
「―――キミの、下僕になる。」
その答えを聞いた瞬間少年…彩花は、笑顔を誇らしげに咲かせながら、クルリを翻った。まるでダンスでも踊っているかのようなそんなかろやかなターンをきめてたかと思うと高級そうな黒色の机に飛び座った。
笑顔はさっきの様な無邪気と小悪魔の中間地点である笑顔を浮かべながら、首を少し横にかしげてまるで"おねだり"をする為の小細工のような真似をする。だがそれはような、ではなく"おねだり"をするための小細工だということはすぐに理解できる
「でわ、誓約の証をしよう」
「誓約の証?」
「そうだ。お前が主人を間違わないように、証を刻むんだ。」
するとまた自分の意志ではなく体が勝手に前に動き彩花に近づいていく。誓約の証、どんなことをするのだろうか。痛い事じゃない方がオレにとって嬉しいのだが、すると彩花は自分の指先を少しだけ切りつけ血を出す
驚いて声をかけようとすると彩花はその指先を自分の口の中に入れて血を少しだけ吸うとオレのネクタイを引っ張った。そしてふにゃりとした感覚が最初に襲ってきた。一瞬何が起こっているかさっぱり分からなくて、目を白黒させるしかオレにはできなかったけど
次の瞬間オレは何をされているのかすぐに分かった。スルリと入り込んできた舌に急いで体を離そうともがくがまたもやオレより細い腕に力で負けてしまう。するとその舌の味は少しだけ鉄分の味がした。
「ッッ…!、ぃ…や!!」
「―――汝、今ここに我の僕になることを望まんと理の扉をあける
血の契約書 真理の鍵 人生の終始
すべてを我に捧げ我と通ずることをここに今に誓約する―――。」
次の瞬間にオレの脳裏に入り込んでくる色々なモノにオレは涙を流す。何故涙を流すのかオレにも分からなかったけどあまりにも大量の情報はきっとすべて悲しいことに違いない事はすぐに理解できた。それが、自分の記憶か彩花の記憶かは定かではないけれど
きっとこれは、誰にも知られたくない過去と誰かに分かってほしい悲しみの情報なんだとオレは頭の片隅で少し霞みかけている意識の中思った。
「―――ッ、はっ…」
やっと解放される唇にオレはさっきの哀しみの涙と生理的な涙を零した。でもそんなオレには構わず静かに瞳を閉じている彩花は言葉を一つも吐き出さない。それよりなんであんなにキスが巧いんだよ!!子供のくせして!!
しかもファーストキスが男でしかも子供で…また生理的な涙が零れそうになるのを必死でこらえながら彩花を睨みつけると、彩花はそっと静かに瞳を開く。その長い睫毛がフルリと揺れる様はフランス人形の様なのだが、そんなことを言ったら絶対に怒られるだろう。
「―――今、お前の記憶はボクへと通じた。これで、誓約完了だな」
「なっなっなっなっ、何が誓約完了だよ!!オレの、オレの…ファーストキスを返せえェェェ!!」
「はっ、キスもした事が無かったのか。悲しい男だな。まあ、いいこれから女になんてする必要はないからな」
「はっ?」
今度は全て悪意を詰め込んだような微笑みでオレに笑いかける。オレは嫌な予感をさせ耳を塞ぎたくなったがきっとそんな事は絶対に許してくれないし、もし逆らったらオレの1%にもみたない希望を捨てられるかもしれない
それに―――、オレのファーストキスさへ無駄になるなんて、嫌だ。
「これからは、ボクだけに尽くすんだろ?下僕」
きっとオレはコイツから逃げられない。そう悟った最初の出来事だった。
誓約のお話、一人で勝手に書いてるときに盛り上がってました。
彩花に押され押され最後には飲まれていってしまうような徒張を書いていて物凄く楽しかったです。