最初
この話はBLがあります
BLが何か分からない 知っていても免疫がない
そういう方はすぐに引き返した方がいいかもしれません
ご観覧の後の苦情は一切お受け取りしませんので重々承知でお願いします
記憶 過去 未来 現在
それが雁字搦めに繋ぎ合わさって今の私たちがいる
暗黒の中で蠢き始めているのは
神 か 邪神 か
黄昏の者の様に分かる訳がない
始まり―さいしょ―
普通に生まれ普通に育ってきたオレは宮代 徒張特に家庭に問題がある訳でもなく友達関係も上々と言ったところである
でもそんなオレにも普通ではないところがある。それは何かというと
所謂"幽霊"が見えるっていうもの
幼いころから見えていたからそれが普通なのかと思ったらそうではないようで、両親にその事を話したらいつも優しい微笑みを浮かべている母の顔が歪んだのを今でも覚えている
友達にもそれを話したことがあるけど、それからというものオレはクラスの虐めの的になっていた。
そんなことも多々ありながら、オレは学校を転向して今の街 金倉市という小さな市に移り住んだ。オレの昔の過去や能力を知らない人々と暮らすのはとても楽だった。
今では普通の高校生として極々普通な生活を送っている。幸せな毎日
極々普通とは言えないか、だってほぼ毎日見ているモノがあるし、それを抜きにすれば幸せな毎日
「ごめん、今日用事があるから先に帰ってて」
黒髪と地毛の少し茶色のメッシュがあって優等生がかける黒ぶち眼鏡をかけて傍から見れば真面目な少年。顔も整っていてきりっとした瞳が特徴的
高校に来てから知り合った、今ではオレの親友である鈴木 水色。学級で有名な優等生君で、生徒会のメンバーでもある。
オレは小さく頷いて水色に手を振った後、自分の家に帰る為足を靴箱に向けた。
* *
オレの近所は空き地などが多くそこの殆どが売りに出されている場所である。極々たまにではあるがお金持ちかなんかが、別荘を建てたりする程敷地は広いものであった。
ここの区は道が入り組んでおりそこのどの道もが色々な場所に繋がっていて狭い区でもあるので、オレがいつも知っている場所に出る
なので毎日、色々な道を通って自分の家にたどり着くことがオレの毎日の楽しみでもある。そして今日は新しい道を発見
好奇心旺盛なオレはその少し細めで暗い路地裏に足を向けた。2、3分歩くとオレがまったく知らない場所に出てしまった。普通なら何時も知っている道にでてくるはずなのに
オレの目の前にはまるで、どこかの古めかしい英国の洋館の様な美しい建物。装飾がこっていてそこら変に建っている別荘とは比べ物にならない
「凄いっ…」
思った事がつい声に出てしまった。それぐらい凄い洋館で、絶対にお金持ちイヤ、大富豪が作ったものだとオレは確信した。
オレの足は無意識に動いていて漆黒のドアのノックする部分に手を伸ばしていて、これもオレの意志なの?でも今オレは、確実にその部分に手を伸ばして掴んで
コンコン
ノックまでしてしまった。不気味な音をたてて開かれたドアにオレは一歩、この洋館に足を踏み入れていた。これは不法侵入ということにはならないだろうか
訴えられてしまえばそれまでで、コツコツとオレの足音だけが廊下に響いていく。真っ赤なカーペットに奥行きのある壁
最近建てられた屋敷とは思えない程古い。一方通行で進んでいくと目の前には漆黒の扉がある、デザインもこっていてこの家にぴったりだと思う
オレは何の躊躇もなくその漆黒の扉を開けた。夕方の光が差し込んで椅子に座っている男の子を美しく照らし出して幻想的だ。
「ようこそ、迷える人間」
「えっ」
「人間は、どんな欲望を叶えて欲しい?」
漆黒でショートの髪、青色の瞳は少しだけつり上がっていて口元は綺麗な弧を描いている。服装もどこかのお坊ちゃんが着ていそいな服で整えてあった。
真っ白な肌がキラキラ夕日に煌めいてとっても綺麗。見た目は子供でも中身までは違うらしいことは、その口ぶりからでも想像はできた。
睫毛の長い瞳が2、3度瞬きすると、興味がなくなったのように急に伏せがちにだけどそこには、苛立ちを含ませながらオレを睨む
「なんだお前、欲望がないのか」
言い切った言葉だ。まるでオレの心を見透かしてるような物言いにビクリとオレの肩が揺れた。その青い瞳はもしかして全てを分かっているような気がして
だが次の瞬間、急にネクタイを引っ張られ少年の鼻がオレの鼻につくかつかないかぐらいの距離になった。
そして次の瞬間に、また少年の瞳はつり上がり口は弧を描く、そしてオレの動揺も気にせず言葉を紡ぐ
「そうか、お前。見えるのか」
「なっ…」
「その瞳は見える眼の目だ。」
いきなりオレのネクタイを離すのでオレはその場に尻もちをつく。無様な姿だと自分でも分かるが、少年はにこやかにオレに嗤いかけていた。その笑いはオレにとって笑えるものだのだろう?
答えは否。絶対に笑えることではない、次の瞬間オレの胸に勢いよく靴で踏みつけた。靴も高級そうなもので黒光りしているって、呑気にそんなことを考えている暇なんてない
その恍惚に満ちた少年の微笑みは、オレの脳裏に厭なほど焼きつき、そしてオレに嫌な予感しかさせない
「お前、ボクの下僕になれ」
「はっ、はぁぁぁああぁぁ!?]
いったい何を言い出すかと思えば少年の微笑みはまるで新しい玩具を与えられた子供の様な笑顔で普通なら、子供好きであるオレなら微笑みを零してしまうであろうが
今はそういうことを言ってる暇はない、下僕なんて普通の子供からでる言葉じゃないし、しかも自分になれと言ってる時点で可笑しい
すぐに少年をどかそうとするが体が少年の力によってビクともしない。まるで子供ではないような力だ。
「見える眼を持つ人間はとても珍しい、だからボクの下僕になることを許してやろう」
「なっ、…自分が何言ってるのか分かってるの!?」
「なんだ、人間は、自分の言葉すら分からないのか?」
蔑んだ瞳がオレを見下す。その物言いはまるで自分がこの世の人間ではないような言い方だ。少年はオレから足をどけるとネクタイを無理やり引っ張った。
それに、さっきから見える眼ってなんなんだ?それに、さっきオレが見えるって言った。もしかしたらオレのこの目の事を分かったってこと?
自分から湧き出る疑問は今にも体から吹き出そうで、自分が今置かれている状況もあまり飲み込めないのに。少年はまた次の言葉を紡ごうとしていた。
「ボクの名前は彩花。これから、お前の主人になる者だ。」
その笑顔は
邪悪な天使の様な微笑み
ご観覧いただきありがとうございます!
まだまだ未熟な私ではございますがよろしくお願いします