プロローグ
日中に灼熱の太陽で温められたアスファルトが既に日は落ちているのに、うだるような熱を放出している、そんな熱い夏の夜だった。
塾の帰りに少し買い食いをしようとコンビニでアイスを買った男子学生は、アイスを食べるのに人気のない場所を探していた。
いつもアイスを食べるのに利用している公園のベンチには今日という日に限って、知らないおじさんが寝ていたため使うことが出来なかったのだ。
そうして、普段は来ることのない空き地に近づいた時、男子学生は複数の人間が空き地にいることに気づいた。
虫の音がりーん、りーん、と静かな空間に鳴り響く中、一人の野球帽を被った少年が不良集団の中で取り囲まれるように立っていた。
最初は少年が不良にリンチでもされてるのだろうか、と遠目から恐る恐る覗いていたが、どうにも思っているような状況でないらしい。
不良達はなにか張り詰めた顔つきをしているのに対して、少年はなぜかにこにこと笑っていたのだ。気味が悪くなってその場から離れようとしたときに、取り囲んでいた不良に少年が声をかけた。
「じゃあ、神様になってみようか」
その声に反応したかのように目の前にいた不良が、突然苦しむように頭を抱えてその場にうずくまる。
周りの不良達がどうしたんだよ、と口々に喋りかける中、うずくまる不良の体に異変が起こった。
突然、不良の髪の毛が腰まで伸び、手の爪が獣のように鋭く尖った。そして、顔を上げると隣にいた不良にうなり声をあげながら襲い掛かった。うずくまった体勢からゆらゆらと立ち上がり、右手を振り回すように顔を横から殴りつける。
獣のように鋭く尖った爪がこめかみから頬にめり込み、風船に針を突き刺した時のように顔が、弾けた。
パァン、と音がした後、その場に一瞬の静寂を呼んだ。
「うわぁあああああああ!!」
覗いていた学生が叫んだのか、不良が叫んだのか、それともその場にいた全員が叫んだのか、誰かが叫んだのを皮切りに地獄が始まった。
化け物のような姿になった不良は、所かまわず人を襲いだした。とても人間とは思えないスピードで振るわれる腕は、人を紙屑のように吹き飛ばしている。
「に、逃げないと」
覗くように見ていた学生は逃げないと同じように殺される事を本能で感じとっていた。しかし、どれだけこの場から離れようと足を動かしたり顔を動かそうとしても、それらの部位は自分の体ではないように動かすことが出来なかった。ただ、体全体の震えが止まらなかった。
気づくと、8人ほどいた不良は3人にまで減っていた。あれだけ恐ろしい膂力もつ化け物なのだからこの一瞬で全員皆殺しになっていてもおかしくないのにな、などという恐怖のせいか頭の狂った感想を抱いていると、それが間違っていることに気が付いた。
化け物は一人だけではなかった。三人に増えていたのだ。
最初に化け物になった不良の見た目とはまた違って、後の二人も異様な姿をしていた。一人は爬虫類のような光沢のある鱗を体表に生やし、もう一人は犬のような耳が生え狼のような尻尾と牙を生やしていた。
3人の怪物のような不良は互いに威嚇しあっていたが、髪の長い不良がビクッと体を震わせ動かなくなった。そして、突然顔を上げ眼を見開いた後、頭から丸い割っかのようなものがぞりぞりと這い出てきた。
「天使の・・・輪っか?」
神々しいまでに光輝くそれは、まるで天使の輪っかのようだった。そして、髪の長い不良の体が日焼のしすぎでめくれる皮のように、ぺりぺりと体表がめくれていき・・・
そこからの記憶は覚えていない、急にあたり一面が真っ白になったような気がした後、体を後ろの草むらに投げ打って意識を失った。
そのあと目が覚めると、学生は病院のベットの上だった。
初めまして。こんな風に文を書かせていただくのは初めてとなります、どうもツタン亀ーンです。
何分知識等全くないままに書き始めているので、いろいろと文章が足りないこともあると思いますが、なにとぞ温かい目で頂けると幸いです。