二人の絆。
初めまして。有里奈 綾といいます。この作品は会話文ばかりが目立ちますし、同じことを何度も繰り返していたりします。
誤字・脱字があった場合は、指摘していただけると助かります。
「由希波に出会えたことこそが、わたしにとって奇跡だったの。一期一会っていう言葉。わたしが一番、好きな言葉。一生に一度の出会い。それは奇跡なんだって。」
由希波は、はっと息をのんだ。何かに気づいたみたいに。…わたし達、やっぱり、以心伝心なんだね。
「わたしも、そう。今まで言えなかったけど…。ずっと、そう思ってた。何でも話せるのは、ちぃだけなの。他の人には話せない悩みも、ちぃになら話せたの。友達はいっぱいいたけど、親友って思える子はいなくて…そんな時、ちぃに出逢った。」
わたしは、そのあとに続くだろう言葉を言う。
「見た瞬間に、判ったの。この子だ…って。誰よりも、この子と一番仲良くなれるって。」
由希波があとを続ける。
「誰が何と言おうと、この子だけが、わたしの親友だって。」
わたしはさらに続ける。
「この子は、私を裏切らないって。」
由希波と一緒に、最後の一文を言う。かちりと音を立てて合わさった、あの時の想いの。
「「この子となら、信頼しあえる、最高で、最強の親友になれるんだって。」」
綺麗にハモったその言葉は。あの時、視線が合った刹那に。二人ともが感じた想いだった。友達の居ない私と。友達がたくさんいる由希波。正反対な二人。それでも。
「由希波と、友達になりたかった。」
「ちぃと、仲良くなりたかった。」
二人がそう想ったからこそ芽生えた友情。
「この子がいい…由希波がいい。由希波じゃないと、嫌だ。わたしの親友は…由希波だけ。」
「この子じゃなきゃ嫌だ…ちぃじゃなきゃ嫌だ。わたしの親友は、ただ一人…ちぃだけ。」
あの時、そう想った。今も、そう想っている。変わらない絆。当たり前だけど、あの時出逢わなかったらなかった絆。
「ちぃとわたしは、以心伝心。誰よりも深い絆で結ばれている。」
「由希波とわたしは、一期一会だった。誰よりも奇跡的な出逢いだった。」
誰よりも信頼できて。誰よりも仲が良くて。誰よりも…大切な存在。家族だって、大事だけど。それとはまた違った存在で。家族が幸せだと、幸せになる。嬉しくなる。…由希波が幸せだったら?わたしはきっと、家族が幸せな時よりも、もっと幸せになる。ずっと嬉しくなる。楽しくなる。
「ねぇ、ちぃ。」
由希波がそっと呟いた。まるで、囁くように。
「なぁに。由希波。」
わたしも、同じ様な口調で返す。
「わたし、ちぃと親友になることができて、本当に良かった。わたし、すっごく幸せ。」
…おんなじことを、考えてた。まったく同じタイミングで、まったく同じことを考えていた。
「わたしも今、おんなじこと考えてた。由希波が親友で、ほんっとうに良かった!」
「だよね!!」
ホント。由希波と友達になれて。親友になれて、本当に良かった。
…そんなやり取りをした数週間後。由希波は突然、どこかに引っ越してしまった。わたしに何も、告げることなく…。
読んでくださりありがとうございます。更新が不定期なうえに文字数も少ないですが、どうぞよろしくお願いいたします。