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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。

愚者になんてなるもんか

作者: 野原四葉
掲載日:2018/04/01

「妊娠した」


 お腹を大きくした彼女はそう言った。


「この子はあなたとの子だと思う。だからわた」

「待て待て待て」


 お気に入りのマテ茶を飲む手を止めて、わたしは彼女の話を止めた。


「何を言ってるんだ」

「……妊娠し」

「それは分かったから。分からんけど分かったから。なんでそんなこと言い出すんだよ」


 彼女はきょとんとした表情でお腹を撫で続けている。


「わたしたち女同士だぞ?」

「でもできちゃった」


 何を言っても無駄なのかも知れない。


「付いてないんだからできるわけないだろ」

「でも、でも、なんか分かんないけどできたの」


 言い訳が苦しい。嘘をついているに違いはない。


「バカなこと言うなよ。てかわたしたち、今日初めて会っただろ」

「あなたを見てるとビビビーンって子宮に電撃が走った」

「で?」

「妊娠した」


 まともに話ができる相手じゃないってのは分かった。障がい者なのか?あまりにもバカすぎる。


「それがわたしたちの子どもだって証拠はあんの?」

「……気がする」

「精神科行ってこい」

「産婦人科に行かなきゃ」


 警察を呼ぶべきか?でも面倒くさくなりそうだ。2人で話し合いをするのが手っ取り早い。


「……そのお腹の中にいる子が、もしわたしたちの子どもだった場合、あんたは何をして欲しいの?」

「……責任を取って欲しい」

「金ってこと?」

「ううん、違う」


 わたしの質問に彼女は当たり前と言わんばかりに首を振った。


「じゃあ何さ」

「……責任を取ってわたしと結婚して欲しい」


 そう言った彼女の目は泳いでいた。というよりかは、照れていた。わたしの顔を見ずに地面に目をやっている。


「結婚って、お前なぁ……するわけないだろ」

「してくれなきゃ困る」

「諦めてくれなきゃこっちが困るんだ」


 頬を膨らませた彼女はわたしを睨みつけた。それが挑発に見えて、わたしも彼女を睨んだ。


「……してくれなきゃわたしはこの子を下ろさないといけなくなる」

「だったら下ろせばいいだろ。わたしに責任なんてない」

「……好きになった人との子を……簡単に見捨てるような大人にはなりたくない」


 自身のお腹に話しかけるように優しい口調だった。こればかりは嘘なんかじゃないと、わたしにだって分かる。

 それに、好きになった人だって?彼女はわたしのことが好きなのか?好きだから、結婚してと言っているのか?


「……関係ない。わたしは親じゃないし、そもそもあんたのことは好きじゃない。他を当たれ」

「他なんてあるわけない」

「じゃあ諦めろ」

「どうしても、ダメなの?」


 わたしの目をじっと見つめる彼女の瞳は、光を反射して宝石のよう見えた。しかしそんな宝石にも、濁りがあるように見えるのは、気のせいなのか。


「ダメだね」

「どうして?」

「……わたしには人を幸せにするとか、子どもを育てるとか、そんなのは向いてないんだよ」



綺麗に完結しましたね。


エイプリルフール企画です。間に合わなかった……。まぁ、いっか。

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