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作者: サイトウ

玄関を開けたら雨が降っていた。大きな雨粒がザァッとけたたましく音を立てて、地面に叩きつけられていた。


これから90キロを運転をするのについてない。小走りで車に向かい、急いで車に乗り込む。使い古したリュックが濡れたが、特に気にするような事じゃなかった。


車の中を見渡す。

少し埃の被ったカーオーディオ。最後に手入れをしたのはいつだったか。

飲みかけのコーヒー。先日買ったものだ。捨てるのが億劫でずっと残っていた。

ドアポケットには駐車場を出た時の釣り銭が入ってた。


天気も悪ければ、車の中も汚い。偶にの休みくらい気分良く運転したかったが、雨の中掃除する気分にもなれず、仕方なくエンジンをかけた。きっと晴れてても掃除なんてしないだろう。


エンジンをかけると同時に聞き古したCDから音楽が流れてくる。数ヶ月同じCDを聞いていたが、特別思い出のCDというわけではない。


右、左、バックミラーと安全確認をして、ゆっくりとアクセルを踏む。朝は子供達が登校していて、タイミングを間違えるとおちおち車も出せないが、平日の午後、雨も降っていて人っ子一人歩いてなかった。


家を出てすぐに信号がある。どんなときも必ず赤だ。例外ということはなく、今日もまた行儀よく赤信号で停止する。赤信号で止まってる間に大きく伸びをした。午前も午前で忙しかったのである。


休みなのか、仕事なのか、なんとも浮かない気分で雨の中を運転していく。浮かない気分も雨で流れてしまえばいいのに、と思う。


これから向かう90キロ先にいるのは古くからの友人だ。友人に会う頃には雨も上がり…正確には雨雲から逃亡し、この浮かない雨模様の気分も友人の顔でも見て話してるうちに綺麗に流れ落ちていくだろう。


雨の中ゆっくりとアクセルを踏んで、途方も無い距離(少なくとも今の私にとっては)を少しずつ進んでいく。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。やっぱり風景の描写うまいよね。自分じゃこういう風なやつかけないから憧れる。
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