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スローモーション

作者: 青井 爽良

スローモーションな君が言った。

「行っておいで」と泣いて別れを惜しまずに泣かない性格だとは知ってたっけどね。

この時くらい泣いて欲しかったなとか思ってる。

ただ微笑んで手を振る君に

少し不器用そうだけど手を振ったら1層大きく帰ってきたんだ。

スローモーションビデオのような秋が過ぎてくそろそろ君は土色のココアが恋しくなるのかな。

今何してんだろってふと思ったことが気持ち悪くてなんか嫌になった。

スローモーションの日々が好きだったように今の僕は君を愛せるかな。


雪が積もったら大きな雪だるまを作ろう。と笑ってた君を思い出した日もあるよ。

寂しげに揺れる木々が手を振る君に見えた日もあるよ。

君の「大丈夫」は殆どが嘘つきで流れるジングルベルも気が付けば聞こえない。

スローモーション再生のような雪は積もってくばかりで、「会いたい」なんて呟いた時

涙が零れているんだ。

ふとしたその仕草がすれ違う度香るいい匂いがとてもどことなく愛しく思えて。

ごめんね今から会いに行くよ。


久々に帰る家はとてもとても静かになってて

「あの子は昨年の秋から余命を言われてて」

と辛そうに彼女の母親はゆっくり言った。

「もう、ここには居ないの」


スローモーションな君は消えた。

音も言葉も何もなく、消えてた。

大丈夫だと笑う様な人なのに気づけなかったんだ。

桜が降っているんだろうモノクロな世界はいつも、スローモーション。

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