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第七話 : 最悪の再会


エルダ村を出発し東へ、ただ東へと歩を進める五人。


しかし道のりは長く、モンスターの襲撃も頻繁であり、なかなか気を休めることはできなかった。


「...ねぇ、少し休まない?」

「そうだな、休むか」


近くにあった大木の下にアーサー達は腰を下ろし、一息つくことにした。


「ねぇ、ずっと気になってたんだけど…その生ハムはいつ食べるの?」

「ん?あぁ、これな。...セイン、食べたいのか?」

「え、いや...荷物になってると思って...」

「じゃあ今食っちゃおうか!」


アーサーは生ハムの箱を開けた。


「うわ、美味しそう!...あれ、6枚に分けられてる」

「あ、じゃあ一つ余るわねー」

「まぁまぁ、とりあえず食べちゃおうよ」

「セイン...やっぱり食べたかったのね」


ひとまず五人は生ハムを食べ終えて腹を満たした。

食後、残り一枚の生ハムをどうするかという話し合いになったがーーー


「ここは公平にじゃんけんでもするか?」

「そうなるよなーーー...あっ!!」


いかにも『閃いた!』という声を上げたのはアーサーだった。


「俺ちょっとやりたいことあんだよ!生ハム貸して!!」


アーサーは生ハムを持ってユーリンに魔法で大きなカゴを出してもらった。


次に近くに生えていた花のツルをちぎり、長めの木の棒を拾い、何やらこそこそと準備を始め出した。


「?何してるの、アーサー」

「ーーーできた!よっしゃ、みんな隠れて隠れて!!」


アーサーはツルの端っこを握りながら、みんなに大木の後ろに隠れるように指示した。


もう一方のツルの端っこは木の棒に巻き付けられていた。その木を支えに、カゴは半分浮いた状態となっており、カゴの真下には生ハムがあるという...古典的な罠が仕掛けられていた。


「あのなぁ...」


呆れ切っているクラウド。

当然である。


「こんなしょうもない罠とも言えない罠に引っかかる奴なんているわけないだろっ!!?」

「そんなのわっかんないだろー!?

一回やってみたかったんだよ!」

「いいや、絶対にいない!こんなのに引っかかるのはアーサーぐらいだ!」

「確かに俺は引っかかると思うけどー!も〜そうやってすぐ決めつけるのはクラウドの悪いトコだぞ!」

「なっーーー」


ガコンッ


「キエエエエエエエエッッッ!!」


カゴが地面に落ちる音と同時に響く甲高い叫び声。


「本当に何か罠にかかったの!?」

「やったぜ!!俺ってすげぇ!」

「よっぽど頭悪いぞかかった奴!」


大急ぎでカゴの方へと向かうと、本当に何者かを捕らえたようで、中ではジタバタと何かが暴れていた。


「あけるぞ!」


カゴをはずすと、すぐに飛び出し逃げようとしたそれをアーサーは即座に押さえつけた。


「...あっ!こいつは!!」

「私たちを、レーボン村に連れていった…あの時の鳥ーーー!」


シャロンが言ったとおり、二スリル国を出発してすぐに自分たちを襲撃してきたそいつは生ハムを咥えていた。


「お前...アホだな」

「キエエエ!!アホとは何だ!!てめーらまた俺をこき使おうとしてこんな巧妙な罠仕掛けやがったなっ!?」

「こ、巧妙...?」

「いや、別にあんたを狙ってたわけじゃないんだけどね...」

「確かに。せっかく掛かったんだから今回もこき使わせてもらおうじゃないか。」

「キエッ!?」


クラウドが鳥に手を伸ばしたその時ーーー


「キエエエエエエエエエエエエエエエエエエッッッ!!!」


と、思わず全員が耳を塞ぐぐらいの甲高い耳障りな声を上げた。


「っ...何よ急に!!」

「悪あがきしやがって…おとなしくしろーーー...え?」

「何...何かが近づいてくる...」


その音は猛スピードでアーサー達に近づいてきている。


「何だ...この音」

「キエキエキエ、上を見てみろ!」

「な、何だこいつら!?」


上空には何十羽という鳥の大群が飛び回っていた。


「仲間を呼んだのねっ!?」

「キエキエ...この数だ。簡単には倒せねえだろ?」

「くそッ...」


休憩を取るはずが、予想外の展開になってしまった。大群が相手とは、疲れきっている今の状態では気が進まない戦闘である。


「僕が戦うよ」


突然セインはそう言った。


「皆は休んでなよ」

「な、何言ってるのセイン!」

「ほぉ〜言ってくれるじゃねえか。おいお前ら!まずはあいつから片付けろ!!」


「「「「キエエエエエエ!!」」」」


雄叫びを上げながら頭上で羽ばたいていた鳥の大群は一斉にセインめがけて急降下してきた。


「セインーーーーー!!!」


しかし、セインは一切表情を変えず、平常心だった。


接近してきた鳥たちによってセインの姿が見えなくなってしまった。

ーーーーー直後。


鳥たちの動きが一瞬停止した。


そしてセインに襲いかかってきていたはずの鳥たちのほとんどが一瞬のうちに灰に変えられてしまっていた。

その場ではセインがただ微笑して立っているだけだった。


「嘘っ...」

「すっ...ごいーーー」


四人は呆然とそれを見つめた。


空には先ほどのセインの攻撃を免れた数体の鳥がまだ飛び回っていた。

セインはそれらを見上げる。


「何だか手応えなくてつまらないなぁ...。ねぇ、君達。逃げないで戦ってよ?」

「かっ...勘弁してくれぇぇっっっ!!!」


空で飛び回る鳥たちはセインを見て怯えた表情を見せ、その後アーサーに押さえられている鳥を見た。

セインはその鳥に近寄り、剣を突きつける。


「どうやら君が司令塔らしいね?」

「やっ...やめろやめろっ!!!

参った!負けたよ!!お前は"そいつらと違って"桁違いに強いな。」

「おい!!なんだよーそれ!!」


アーサーが反論するが、鳥は鼻で笑った。


「貴様らなんざ俺様にかかれば一瞬で...」

「この前はその俺たちに焼き鳥にされそうになってたくせに!」

「だっ...黙れ黙れーーーっ!!」


アーサーと鳥の口げんかが勃発する。それを見たセインは小さくため息をつき、苦笑した。


「ねえ、そんなことよりさ、君。

ちょっとレヴェリア王国までひとっ飛びしてくれないかなぁ?」

「なっ...!!やっぱりこき使うためだったのか!!」

「...君も灰になりたいかい?」

「...」


鳥は悔しそうにセインをにらんだ。

ここで、ユーリンが口を開く。


「だめよっ!セイン!!信用できないわ!コイツ、前も私達をだましたんだから!」

「大丈夫だよ。もし別の場所に連れて行かれたらその時は...ね?鳥さん?」

「くっ...そぉおお!!!

分かったよ!!運べばいいんだろ運べば!!」


結果、前と同じようにこの鳥に運んでもらうことになった。


また変な場所に連れて行かれたら

今度こそ焼き鳥にしてやるーーー!

心からそう思った一行だった。





お久しぶりです由豆流です!

ここまで読んでいただきありがとうございます!!第一話で登場したあいつ、また出てきましたね!そうです、気に入ってます!


更新は遅めですが、まだまだ続きますのでこれからもどうぞよろしくお願いします。

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