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第十一話 : 魔界へ


そして次の日、朝一番に図書館へと向かった。


「おーい!何か参考になりそうなものは見つかったか?」

「おい見ろクラウド!!昔一緒に読んでいたアソパソマソの絵本があった!!懐かしいな!読もうぜ!」

「なっ...ばっ...馬鹿か!だまれ!」

「へえ〜、クラウドもそんな本読んでたんだ!かっわいー!」

「ちっ...違う!それは...っ!!」

「クラウド好きだったよな、あれ!

ロールパソナちゃん!」

「〜〜〜っ!!やめろ!!黙れと言ってるだろ!!!いい加減真面目に探せーーーっ!!!」

「失礼な。俺だって真面目にーーーーあ、アソパソマソ行進曲も一緒に歌ったよな!歌おうぜっ!」

「歌ってねーよ!どこが真面目だ!もういい、お前がいると全く進まない。お前は街の観光でもして来いっ!!!!」

「え?いいの?観光して。」


アーサーは目を輝かせてクラウドを見る。


「パイナップル食べてもいいのか?」

「...好きにしろ。」

「...お土産、いるか?」

「いいから早く行け!」

「やったーーー!!行こうぜユーリン!!!」

「えっ!?ちょっ...アーサー!?」


アーサーは強引にユーリンの手を引き、外に飛び出して行った。


「はあー...やれやれ。どうだシャロン?」

「うーん...まだ、あんまりかな。」

「そうか...。あ、これ。この国の歴史書のようだ。何か参考にならないか?」

「ありがとう、クラウド。後で読んでみるね。」

「ああ。何か手伝える事があれば言えよ?」

「うん、ありがと。」


クラウドから本を受け取ったシャロンは、再び黙々と解読を進めた。


それからしばらく、解読を続けていたが、作業は一向に進まなかった。


「ふう...。」


シャロンはひとまず顔を上げ、一息ついた。図書館内には二人以外には誰もおらず、静まり返っている。


シャロンはふいにクラウドの方へ目をやった。


すると、手に取った本に真剣な表情で目を通している彼の横顔が目に入った。


その横顔に、シャロンは思わず魅入ってしまう。


「...ん?どうした?」

「あっ...ああーううん、...何でも...」


シャロンはあわてて顔を背けた。

ーーー何だろう、この感じ...


シャロンはクラウドの視線から逃げるようにして先ほどクラウドから受け取った本へと目を移す。


「あれ...?これ...ーーー」


シャロンは再びクラウドに視線を戻して、尋ねた。


「ねえクラウド。この本、上巻ね?

どこかに下巻もあるんじゃない?」

「下巻...?その本を見つけた所には、そんなもの...ーーー」

「この本、表紙が特徴的だし、探せばすぐに見つかるんじゃないかな?」

「分かった。」


クラウドが探し出したのを見て、シャロンも周りを見渡す。

すると...


「あ、あれじゃないかな?

ほら、あそこの真ん中の...」

「ああ、あれか。」


クラウドはシャロンが指差した本棚に近づき、本に手をかけた。

ーーーーーその時。


‘カチッ’というスイッチ音が館内に響き渡った。


「えっ...!?」


クラウドの目の前の本棚が音を立てて動き始めた。


「まさか...この本がスイッチだったのかっ...!?」


本棚の元の位置には、昨日と同様下へと続く階段が姿を現していた。


「驚いた...スイッチの場所がこんなに変わってるなんて...」

「...そうだ!あの本たちに聞けばいいんだわ!」

「え?シャロン...!?」


戸惑うクラウドを他所にシャロンは階段を駆け下りていった。

クラウドは訳も分からないまま、シャロンを追いかけた。


そして、しばらく進んだ所でシャロンは立ち止まった。


地下の壁も本棚でびっしり埋まっていることがクラウドには少し不気味で、不自然に思えた。


「シャロン、一体どうしてこんなところに来たんだ?」


シャロンが返事をする前に、周りにあった本棚が一斉に揺れ出した。


「なっ...何だ!?」


次の瞬間、本棚にあった全ての本が二人に向かって突っ込んできた。


「!!シャロン!危ないーーーっ!!!」


クラウドはとっさに、シャロンの前に両手を広げて立ちはだかった。


しかし、ーーーーー


「待ってクラウド!!大丈夫よ!」

「えっ...?」


気が付けば、本達は目の前で停止し、宙にパタパタと浮いていた。


『おお、おぬしか。よく来たな。』

「こんにちは!えへへ、また来ちゃいました…!」

「...??これは一体...」


困惑するクラウドにはシャロンが事情を説明した。


「ーーーつまり、この本達とはお友達なの。」

「そうだったのか...」

『それで?何か用があるのかい?』

「あの、この本を解読したいんですけど、全然出来なくて...」


シャロンは持っていた本を彼らに見せた。


『これか...ふむ...私には...分からないな...』

「えっ...そ、そんな...」

『安心しろ、娘よ。さあ、もう少しよく見せておくれ。

...ほお...この時代のものなら...おいアンディ!!お前なら分かるんじゃないか?』


‘アンディ’と呼ばれて出てきた本に、シャロンは最初のページを開き、目の前まで持っていった。


『...古く、この地が魔王に支配されし時、四人の勇者が現れ、魔界へ向かい、魔王を封印したという...』

「これは村長が言っていたのと同じ...!!」

「呪文とか書いてありますか?」

「魔界への扉を開くは開放・結界の言葉、‘エル・ネシオ・メジャー・デ・マンド,デモニオ’』

「えるねし...何?」

『エル・ネシオ・メジャー・デ・マンド,デモニオ』


シャロンは慌ててメモを取った。


「場所は?」

『この国の外れにある森を抜けた所の丘だな。そこにある岩の前で唱えればいい。』

「!!セインがいたところの...」

「よしっ、みんなありがとう。

そうと分かれば早くあのバカを迎えに行くぞ。」

「うん!みんな、本当にありがとう!!」

『気を付けるんだぞ...』

「はい!」


シャロンは本達に手を振りながら先に進み始めた。

直後ーーー足元に散らばっている本に気づかず、そのまま躓いて体が大きく傾いた。


「きゃっ!!?」

「ーーーっ!!!」


しかし、倒れる前にシャロンの身体は何かに支えられた。

ゆっくり目を開けるとーーー

すぐ近くには、クラウドの顔がある。


「ーーークラウド...っ!?」

「全く...気を付けろよ?」

「...ありがと」


シャロンは頬を真っ赤に染めながら慌てて身体を離した。

すると、クラウドは軽く視線を逸らしながら、シャロンの方へと手を差し出した。


「え...?」

「危ないから、ほら。」

「ーーーうん…!」


シャロンは微笑んでその手をとった。


『...青春じゃ』

『青春じゃのう』

『羨ましいのう、若いのぅ』


手をつないで走り去る二人の姿を微笑ましく思いながら、古書達は再び眠りについた。










二人は図書館を出て、観光しているであろうアーサーとユーリンを探すことにした。


「探すといっても、レヴェリア王国って広いよね。」

「ああ。まあ本は解読できたんだ。そんなに急ぐことはないだろう。

あの、さ。シャロン...」

「なぁに?」

「俺らも二人で一緒に観光ーーー」

「いやいやいやおじさん!!約束したじゃない!!ねえ、アーサー!」

「そうだよ!!俺がパイナップルで自由の女神作れたらこれ半額だって言ってたじゃん!!」


聞き慣れたでかい声が二人の耳に届いた。

声がした方へ行ってみると、そこには人だかりができていた。

クラウドが人混みをかき分けて行くと...


「おっ!クラウド!!見ろよこれ。今まさに値切った‘パイナップル寿司’だ!!ゲロうまいってキャッチコピーなんだが一体美味しいのかまずいのか...

...あ、このパイナップル仮面のお面いるか?っておい、クラウド!!どこ行くんだよ!!」


クラウドはアーサーの元をさっさと離れてシャロンの元へ戻った。


「あ...やっぱりアーサー達だったの?」

「いや。不良がケンカしてるだけだった。さぁ行こうシャロン。」

「うおーい!!クラウドー!置いていくなよー!あ、魔界への行き方分かった??」

「うん、分かったよ。」

「おー!やっぱりすげーな俺のシャロンとクラウドは!」

「なんか、ごめんね。私達だけ観光楽しんじゃって...」

「あ、ごめんな。二人とも。ほら、このパイナップルアップルお土産にやるから。」

「土産はいらん!あとその間抜けな仮面をはずせ!!」


クラウドは、アーサーの頭を一発はたいた後、急に真面目な顔つきになった。


「もう一度セインがいたところに行くぞ。そこで魔界への道を開く!!」

「おーっ!!」


四人は再び、丘を目指して森へ向かった。











四人は丘を目指し、再び昨日訪れた森を進んでいた。

ーーーーーが、


「あ。そうだった。道分かれてるんだったね...」


昨日と同様、分かれ道に遭遇した。


「どうしよう。シャロンは昨日通った道覚えてる?」

「ううん。ごめん、覚えてない。」

「安心しろ!俺は覚えてるぞ!

俺のクラウドセンサーはバックアップ機能がついているからな!!

正解は...右だーーー!!!!」

「左だ!!」


クラウドそう言って、右へ走って行こうとするアーサーの首根っこを掴んで、後ろへぶん投げた。


「何だよクラウド!お前だってそんなの勘だろ?」

「セインを追う時に木に印を付けた。ほら、そっちの木にあるだろう?」


シャロンはクラウドの指した木を見てみると、確かに幹には×印が刻まれていた。


「あ、本当だ。知らなかった。」

「...え。後を追って来るお前たちの為につけたんだが...?だったらお前ら、どうやって俺のところまで来たんだ?」

「それは...」


シャロンとユーリンは一斉にアーサーの方を向いた。


「バカヤロー。俺とお前を繋いでる運命の赤い糸を辿ってきたに決まってんだろ!!」

「要するに勘だけで辿り着いたんだな?全く...」

「クラウド!むしろ勘だけで辿り着いたアーサーを褒めてあげて!」

「無駄なことに頭を使うな!!」

「俺が使ったのは頭じゃねえ!心だ!!!」


その後、クラウドの拳がアーサーの頭に落ちる音を聞いた。


こうして四人はクラウドが木の幹につけた印を頼りに丘へと向かった。


ようやく丘に辿り着いた四人はとりあえず辺りを見渡してみた。


「ここで良いのか?」

「うーん...本当にこんな何にも無い所でいいのかな」

「...確か、岩があるとか聞いたんだが。」

「岩?そんなもの無いよ?」


シャロン達が教え込んでいると、ふいにアーサーが口を開いた。


「そういえば、セインの奴、あっちの方へ去ってったよな?」

「!!」

「それだ!でかしたぞアーサー!」

「え?それってどれよ?」

「もう分からなくていい!あっちだな?行くぞ!!」


呆然としているアーサーをよそに、三人はセインが去って行った方向へ向かった。


丘を越えると、そこには巨大な岩のようなものが見えた。

近寄ってみると、その岩の表面にはしめ縄が張り巡らされていて、無数のお札が貼られている。


そして正面にはかすれ見えないが、何か文字のようなものが彫り込まれている。


「うわ、すごい...まさに封印の岩ってかんじね。岩ってこれのことかな?」

「おそらくな...」

「よっしゃあ!じゃあ呪文唱えるかー!!」


四人は岩の前に整列し、手を繋いで呪文を唱え始めた。


「エルメシオ...いや、エヌ...あ、エルメスオデジャ......デモニオ!!」

「こらっ!ごまかしちゃダメよ!」

「アーサーはこのメモ見て言ってね?」


そう言ってシャロンはアーサーに呪文を書いたメモを渡し、呪文を仕切り直した。


「エル・ネシオ・メジャー・デ・マンドーーーーー」

「おーい!勇者様方ーーー!!」

「え?あっ!あれはニスリル国の兵士達だわ!」


兵士達は息を切らせながら、四人の元に駆け寄る。


「はぁ...はぁ...勇者様方、大変です...!!!」

「落ち着け。何があったんだ?」

「ゆっくりで大丈夫だから、話して?」

「おいっ!!せっかく俺の素晴らしい滑舌を披露していたのに!邪魔してんじゃねぇ!!!」

「お前は黙ってろ!!...で、何があった?」

「は、はい。実は、勇者様方の後をつける怪しげな人物の存在を確認しまして!」

「ーーーーーえ?」

「名は‘セイン’という青年で、どうやら魔王の手下のようです!これがかなりの戦闘能力でーーー」

「おっせえよ!もう会ったよ!」

「ええええっ!?」


兵士達は驚きのあまり腰を抜かす。


「あああ...会ったんですか!?えっ?それでそいつは......」

「もう済んだ事だ」

「ひええええ!!

やはり勇者様方はお強いなぁ!!」

「そりゃあ国王様が選んだ方々だぞ!!お強いに決まってるだろ!」

「うるせえよ!とにかく俺ら今から魔界に行くから下がってろ!」

「まっ...魔界!?はっはい...!!」


兵士達を岩から遠ざけて、四人は再び岩の前で手を繋いだ。


そして再び呪文を唱える。


「今度こそいくぞ!せーのっ」

『エル・ネシオ・メジャー・デ・マンド,デモニオーーーっ!!!!』


直後、岩が鈍い光を放ち、気付いた時には不気味な色をした禍々しい巨大な渦のようなものが目の前に迫っていた。


「ひええええ!!何だあれ!!

こっえー!!!」

「勇者様方の身体が渦の中に!」


巨大な渦は、四人を飲み込み始めていた。


「じゃあ、行ってくるな!国王に伝えとけ!魔王は俺らが絶対に倒すって!!」

「お姫様も必ず連れて帰ってくるから…!」

「だから心配はいらないわよ!」

「こっちの世界のことは頼んだぞ!」



四人は各々兵士達に一言言い残し、やがて四人の意識は遠のいた。





あけましておめでとうございます!!


年明け記念ってことで二話連続投稿しました!!やったね!


舞台は第二ステージ、魔界へと移ります。

ギャグもシリアスもさらに加速する展開.......

に、したい!!


今年もよろしくお願いします〜

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