実戦授業
「それじゃあ、みなさんがんばってね!わたしはこれで〜」
これからの行動の簡単な説明をし終えると、アカリファ先生は手をヒラヒラと振りながら教室を瞬く間に去ってしまった。まったく…止める暇もありはしなかった。これから授業だと言ったのはアカリファ先生なのに、一体どこに行くんだろう。
その理由をレイラに尋ねると、レイラは実に丁寧に、そのわけを話してくれた。
「今から行われる授業は実戦形式のものなの。その担当の先生はアカリファ先生とは別にいて、私たちは今からその先生のところに行くのよ」
見ると周りのみんなも次々と席を立ち、教室をあとにしていた。
するとレイラは珍しく嫌悪の表情を浮かべて小さく言った。
「私、本当はその先生のこと苦手だから実戦授業は好きじゃないの…。ミレアも気をつけた方がいいよ」
え、それってどういう…
わたしがそう聞くよりも早くレイラは立ち上がると、いつもの笑顔で言った。
「さ、私たちも早く行こう!ミレアは初めての授業だもんね。遅れたら大変だよ!」
「う、うん…」
レイラは教室のドアめがけて小走りに駆け出した。その細い後ろ姿を追いかけながら、わたしの心の中には疑問ばかりが渦巻いていた。
さっきのはどういう意味なの…?レイラ
知りたかったが、それ以上レイラに聞いてはいけない気がして、わたしは心に生まれた疑問の念をギュッと奥底に押し込んだ。