セイジVSオリバ 2
セイジはバッと地面に手を着き、再び氷の力を呼び覚ます式句を唱えた。
「氷の力よ…!我を守る盾になれ!アイシー・シールド‼︎」
するとセイジの言葉に呼応して、手をついた地面に円形のライトブルーの光が生み出された。そして、オリバの剣がセイジに近づき、その肌に食い込もうとした瞬間、光が氷の塊と化して真上に伸び、オリバを剣ごと吹き飛ばした。
木にたてかけられたHP表示機の片方が、緑のラインを目に見えて大きく減少させ、イエローへと変貌した。間違いなく、オリバのものだ。
「すごい…」
自然にその言葉が口からもれていた。遠目から見ているだけでもセイジの実力が嫌という程伝わってくる。アークスを倒したのはわたしの他にもう一人だけで、それはセイジではないはずだが、今のセイジの実力は明らかにアークスと同レベルかそれ以上だ。もしかしたら、学園の実戦授業の講師であるオリバにも勝てるのでは…
と思った時だった。
少し離れたところでオリバが無言で立ち上がった。音のシールドに守られているとはいえ、今の攻撃が効いたのか、動きはどこかぎこちない。
オリバは首をポキポキと鳴らした。
「…いやあ、効いたよスターチス。予想以上の力だ。ここで決めるつもりだったんだけど…どうも一筋縄じゃいかないらしい。だから…」
オリバはユラッと顔を上げた。そこにあるのはいつもの笑みではない。狂喜だった。人をいたぶることに快感を覚えるとでも言うような、相手を凍りつかせる笑み。
「僕も力を使うとしよう。怪我しても恨まないまでくれよ?やる気にさせたのは君だ…」
セイジの返事も聞かずに通らない理屈を並べたオリバは、剣を逆手に持ったかと思うと、それを地面に突き刺した。そして妙に大きい声で式句を言い放った。
「我に宿りし大地の力よ!今こそ汝が主にその力を示せぇ‼︎」
その瞬間、生徒達が立つ地面がドンッという音と共に一斉に揺れ始めた。だんだんと大きくなる揺れについに立てなくなる者も現れる。
「ダーシスト・アントラー‼︎」
セイジが両目を見開いた。