セイジVSオリバ 1
セイジはオリバに臆する様子も見せず、手を肩の高さまで上げると、凛とした声で叫んだ。
「我に宿りし氷の力よ。今こそ汝が主にその力を示せ!」
途端にセイジの手からライトブルーの光が放射状に放たれる。だんだんと大きくなる光を浴びながら、セイジは再び口を開いた。
「アイシー・ソード‼︎」
瞬間、眩しいほどの光がセイジを中心として発生した。芝生を一方向に傾かせる風と、頬を刺すような鋭い冷気が技の威力を物語る。オリバも危険を察知したのか、突進を中断してバッと後方に跳んだ。
なんとか目を開いてセイジを見ると、渦巻く氷の粒の嵐の中、セイジの手から大きく長い氷の塊が生み出されつつあった。それはたちまち伸びて、キンッと澄んだ音をたてながら剣の形へと変化する。
嵐が完全に止んだ時、セイジの手には一本の華麗な剣が握られていた。
セイジはそれを横に一度凪ぐとオリバを睨み、剣を中段に構えた。
オリバがユラユラと体を振りながら笑う。
「…さすが首席様だねぇ。氷で剣を瞬間生成するなんて。普通のレウィシアに出来ることじゃない。でも、たかが氷でできた剣がどこまでもつのかな?」
「…」
セイジは何も答えなかった。その代わりとばかり、今度はセイジが勢いよく地面を蹴ってオリバに突進する。
セイジの体重の乗った右上段からの一振りを、オリバは難なく受け止めた。あんなに大きな剣をセイジと同じスピードで振り回すとは、心苦しいが流石という他ない。
オリバの剣とセイジの剣がつばぜり合い、キリキリという音を響かせる。
「ふぅん…これくらいには耐えられるか。じゃあ、これならどうだっ‼︎」
「…ッ⁉︎」
オリバはつばぜり合いを受け流すと体を一回転させて、そのまま剣をセイジの腹部目掛けて勢い良く振るった。
セイジもとっさの反応で受けるが、あまりの重さと力に一瞬大勢を崩される。その隙を逃さず、オリバはすかさずもう一振りをセイジに叩き込もうとする。眉間にシワを寄せつつも、どうにか今度も受け止めた。
しかしその瞬間、ピシッと小さく、しかし確かな音が私たちの耳に届いた。
オリバがニヤッと笑う。
「死ね…」
オリバは剣を真下に振り下ろした。