忌み子と大型ギルド
「ここが俺たちのギルドだ。」
「ふぅん。」
ロートはそう言いながら、チェーニを地面に下ろした。
目の前にそびえ立つのは世界最大にして最強のギルド、ライゼ・フォルクである。
「よう!かえったぜ!」
扉を開けながら、ロートが大声で言った。
「おお、で、今度は誰を連れてきたんだ?」
ひとりの男がそう返す。
「こいつだ。」
「どうも。」
チェー二が建物に入った瞬間、
じゃベリ声や物音が全て消える。
(へぇ、ここもかよ。)
チェーニは思った。
黒いマントと灰色の髪、金と黒の瞳の“忌み子”
金のためなら何でもする、強欲で非情な“ハイブリット”
(少しは期待してたんだがな)
ロートの所属するギルドならこんな風なこともないと思っていた。
だがそれは幻想なのだと、分かりきった現実を突きつけられる。
「ロー、入局試験をするんだろう?」
「ああ、さて、試験内容はいろいろあるんだが、どうする?」
「そうだな……」
チェーニの指先が試験内容の書かれた紙の上を滑る
と、ある項目でピタッと止まった。
「これがいい。」
「強さの適当な者と試合。か、お前らしいな。」
「さっさと始めろ。」
「まあ待てよ、お前の実力と同じぐらいのやつを見繕わなちゃいけないんだから。」
「見繕うのがてめぇじゃあ、信用できないな。」
「何で!?」
「さあな、」
ケタケタと笑うチェーニ。
ちなみにここまでのやりとりの間、
彼とロート以外は一切音を立てていない。
「よし、カルマ、こっち来い。」
「おれ?」
「よろしくお願いします。」
「え?え?」
おじぎするチェーニと混乱するカルマ、
実はこれもチェーニの作戦だったりする。
「わ、分かったよ。」
「入局試験、スタート!」