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五神の国―光と闇の忌み子―  作者: タナトスの鎌
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忌み子と過去

これは、企画『五神の国』の小説です。

読む前に、ユーザページのリンク先のホームページにある【世界観】を拝見願います。

ある少年が武の国にいた。

彼は青の髪と緑の瞳を持った、とても純粋でおとなしい子供だった。


捨て子だったのだが、完璧に外見が獣人だったので、

村の中で大切に育てられていた。


ところがある日、その幸せな日々は崩れさった。

彼は自分がハイブリットだと気付いたからである。獣族にしては魔力が膨大で、さらに光と闇という二つの属性を合わせ持っていたのが、その原因だった。

彼は必死に隠したが、すぐに村中に知れ渡った。5才という年齢で、彼はひどい虐待と差別を受けた。村の近くの豊かな自然が彼をかろうじて育んだ。


彼が8才の時である。その日もひどい虐待を受けていた彼の生存本能が、自身を守るために、“敵”に攻撃した。そして、彼は“敵の排除”に成功した。


ふらふらと森の中を歩き湖にたどり着いた彼は水面に写った顔を見てひどく驚いた。そこに写っていたのが青い髪と緑の瞳の自分ではなく、

灰色の髪と金と黒のオッドアイの少年だったからだ。


「お前は誰だ?」

彼がそういうと少年の口もぱくぱくと動く。

そんなことを何度か繰り返し、彼は自分の姿が変わているという決断にたどり着いた。


「これが、俺?」

しばらくの静寂のあと、

彼の笑い声が当たりに響く。


「ふは、ふはははははははは。」

それはもう、純粋だとは言えない声だった。

この世の黒いものをすべて集め、凝縮したような、そんな声。


「ふははははははははははははははははははははは」

勝ち誇り、これからも負けることはないと確信した者の声。


誰も知らない。

彼自身でさえ知らない。

彼がその時、強い強い孤独を感じていたことを。

彼がその時、涙を流していたことを。


誰も、誰も知らない。

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