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013話
※注意事項
本作はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在の人物・団体とは一切関係ありません。
雪原に塹壕。兵士は寒さ故に体を震わせる。白い息だけが、生の証のように立ちのぼる。倒れた兵士の手に、小さな手紙。家族からの手紙。「子供が帰りを待っている」と。風はそれを奪い、空に溶かした。雪は何も覚えない。ただ、全てを覆い続ける。
夜明け前、地下鉄のトンネルに風が吹く。電車はもう動かない。ホームの蛍光灯が一つだけ残り、断続的に明滅する。線路の上に、錆びたヘルメット。誰のものか、もう分からない。壁の広告は色を失い、文字が剥がれている。風が通るたびに紙片が舞う。その音が、都市のかすかな呼吸のように響く。
霧が線路を覆う。崩れた駅舎の屋根から、水が滴る。時刻表は焼け、文字の一部が灰に変わっている。辺りは倒れる兵士たち。遠くで鳴る汽笛は、帰らぬ兵たちの列を思わせる。プラットホームに落ちている兵士の帽子。それをかぶる者はもういない。
ここはこうした方がいいなどのアドバイス、誤字脱字があればぜひ感想欄に。




