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episode2



「おかわり!!!同じの!!!」



勢いよくワインを飲み干し、催促をかける

先ほどとは打って変わって荒ぶった姿の私がいた



「もぉ〜、真白ちゃん飲み過ぎよぉ」



バイト先でもあり、よく飲みに行くBARのマスターが心配そうな顔でワインとチェイサーをくれる



「うるさいなぁ〜、別にいいれしょ!!」




晃に別れ話をされてから、心に穴が空いたようなモヤモヤとした感情が拭いきれず、私は慣れないやけ酒をしていた



お酒は飲めるほうだが、こんなに酷い飲み方をしたのは初めてだったので酔いが回るのも早く、時折呂律も回らない




ただ、今は何も考えずにお酒を飲んで忘れてしまいたかった


 


「今日はとことん飲むの!!!」




「真白ちゃんったら、もぉ〜〜」




今日は出勤日ではなかったけど、あれから行くあてもなく、かと言って家に一人で居たくなくて彷徨っていたところ

ちょうど店の前を通りかかったので、なんとなく顔を出してみた


マスターのいつも包んでくれるような優しい顔を見た瞬間に、堪えていた感情が溢れ出し晃とのことを吐露したためか、マスターは文句を言いながらもお酒を止めることはしてこなった





カフェでの晃の気まずそうな、悲しそうな顔が頭からこびりついて離れない




一刻も早く消し去りたい気持ちでワインを一気に流し込んでいく




見かねたマスターがポツリと呟く




「そんなにショックだったのね。晃ちゃんのこと」




「…………別に…、」




「素直じゃないんだからぁ!」




マスターが更になにかを言いたげな様子をしているが、そっぽを向いて空になったグラスを弄ぶ




……素直じゃないのは、自分でもわかってる



あの時、一方的に晃を責めたりせずに冷静に話を聞いていれば、違う方向に進んでいたのかもしれない



もっと歩み寄れば晃の気持ちにも変化が……



考えても仕方のないことをグルグルと頭の中が駆け巡り嫌気がさす



「あーーー!!もう!!!」



急に大声をあげて項垂れる私にケイちゃんはギョッとしながらも、オロオロと心配そうにこちらを伺う




「ちょっとぉ〜、大丈夫なのぉ?」




今更後悔したって、どうしようもない

終わったことにクヨクヨ悩むなんて私らしくない



この感情を消し去るためには、今はとことん飲んでマスターと何気ない会話をして楽しむのが一番なのかもしれない



そう思うと、心が少し楽になった




「マスター!今日はとことん飲むよ!」




「あら!じゃあ、アタシも飲んじゃおうかしら!」




空になったグラスにワインを注いでもらい

失恋記念日と称し乾杯をすると、少し元気が出てきた




それからマスターは、自分の過去の恋愛話や失敗談などを面白おかしく話すので 

私はいつも以上に上機嫌でお酒も進み、常連さんも混ざっての笑いが絶えないひと時を過ごした






























………ふわふわする




ワインをしこたま飲んだから、なんだか頭が痛い気もするし…





「んっ……」






ヒヤリと何かが触れる感覚がする






「あっ……、」






なんだろうな、すごく気持ちいい……






そういえば、BARの帰りどうしたんだっけ……





記憶が曖昧で今はなにも思い出せない…





けど…、





ただ、今はこの感覚に溺れていたい………








ーーーーそして私の意識は途絶えてしまった














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