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殺人思念討伐屋・日暮結子

作者: 扇鈴千鶴

 今日も今日とて、日暮結子は討伐に向かう。


「邪鬼丸、行くよ」


「ウオンッ」


 地獄から抜け出した殺人鬼たちの思念を討伐しに行く。


 結子たちが今回追うのは、江戸の殺人鬼、弦間惣一郎。女子供問わず、138人も殺した刀鍛冶職人。


「人に憑かれたらまずい。早めに片付けるよ」


 相棒の地獄の獄卒ならぬ、獄獣の邪鬼丸と共に、逃げ出した思念を追う。


「見つけた!」


 弦間惣一郎の思念は、一人の少女の身体に取り憑こうとしていた。

 それに経文を持ち、数珠を構えて、結子は阻止をする。長い数珠で惣一郎の思念を縛り付け、経文を唱える結子。


「なぜ我らの邪魔をする。お前の父とて、昭和の大量殺人鬼・日暮結人ではないか」


 苦しみながら、惣一郎が話す。


「私は父とは違う。そのことを証明するために、この討伐屋になったんだ」


 経文を全て唱えると、惣一郎の思念は塵芥となって、消えていった。

 惣一郎の言った通り、結子の父親は昭和の大量殺人鬼で死刑になった極悪人だ。


 200人もの人を毒殺して、100人もの人を切り刻んだ。結子の生前の人生は、父親のせいでめちゃくちゃだった。

 自分が自殺する羽目になった原因である父親が憎い。その一心で、死してから地獄の大王に願い出て、殺人思念討伐屋となった。


 思念というものは怖いものだ。まして、殺人鬼の思念など。その思念が生きている人間に取り憑けば、その人はたちまちその殺人鬼の思念に染められてしまう。


 現代の殺人の中には、こうした殺人思念に取り憑かれてしまった人が起こしているのもある。結子の父親の思念もまた、地獄から抜け出してしまっている。


「クウン……」


 邪鬼丸が結子に寄り添う。


「まだまだ、地上には沢山の思念が渦巻いている……」


 邪鬼丸の頭をなでながら、結子は決意を胸に、次の目標へ向かう。


 殺人思念は数え切れないほどいる。


 平成の放火魔、泉剛邦。


 大正の殺し屋、鈴ヶ谷斎彰。


 明治の快楽殺人犯、紫島藤助。


 まだまだ沢山の殺人思念が、結子を待っている。


 そして結子は戦うのだ、地上から殺人思念が全て消えるその日まで。邪鬼丸と一緒に、終わりの見えない戦いを続けていく……。



 完




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