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1、こうして始まった二週目の人生

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(……どうしてこうなった??)


 ただ、ヒロインと義弟ーー攻略対象の幸せを願っただけだった。


 所謂(いわゆる)、悪役令嬢的なイジメや、シナリオ改変なんてやってない。

 二人のことは二人に任せ、割って入るような真似なんてしなかった。

 ただ幸せを願っただけだったのに。


 なのに。


 なぜ。


 ごボリと血を吐き出す。

 呼吸が出来ない。


 貫かれた胸が痛い。


 なぜ。


 どうして。



「姉上っ!!!」



 義弟(ルーク)が焦ったように叫ぶ声が聞こえる。


(ルークじゃ、ない……?)


 安堵した。

 複雑な立場の私だったけれど、少なくとも暗殺を指示したのはルークじゃない。

 そう確信する。


 ならば、なぜ。


(……あぁ、そう。なの)


 貴女だったの。


 うっすらと、歪んだような笑みを浮かべてたのは、ヒロインであり、ルークの恋人となったルナ・アノーソクレース。


(私を殺す、理由、なんて……)


 ゲームでは、ルークの義姉が死ぬなんてシナリオじゃなかったのに。


 どうしてこうなった。


 一体、何を間違えた。





 ーーこうして私の二度目の人生は幕を閉じた。





ーーーーーーーーーー

ーーーーーーーー




 ここが乙女ゲームの世界だと気づいたのはいつの頃だったか。


 攻略対象は、第一皇子、騎士団長、侯爵家子息、幼馴染、暗殺者の五人で、いずれかとヒロインがハッピーエンドを迎えるという、王道の乙女ゲーム。


 攻略対象は在り来りとも言える王道なラインナップなのに、ヒロインが暗殺者ギルドに入っているというトンデモ設定で、けれど共通ルートはほとんどなく、攻略対象によってだいぶ話の流れが違ったので、全ルート楽しむ事が出来て大満足だったのをよく覚えている。


 特に、本当は伯爵家の血を引くヒロインが、平民である幼馴染みに告白するもフラれる、というシナリオは斬新だった。

 身分違いだからと、幼馴染が身を引いた形だ。


 乙女ゲームの攻略対象にフラれる。

 ハマりまくっていた当時の私は、衝撃のあまり号泣したものだ。


 箱推しだった大好きな乙女ゲーム。


 その世界に転生だなんて、夢のようだ。


 私は攻略対象の一人である、侯爵家の子息ルーク・タンザナイトの義姉という単なるモブで、悪役令嬢にすらなれないポジションだけど、そんな事はどうでもいい。


 ヒロインではなく残念に思わなくもないが、その反面、暗殺業ーー潜入捜査や情報収集等、体を張る仕事をしなくて良いという安心感もあった。

 なんせ身の危険を心配する必要がないのだ。


 私の立場は少々複雑とはいえ、曲がりなりにも侯爵家の令嬢。侍女や護衛はついているし、貴族として優雅な生活を送れている。


 選択肢を間違えば死が訪れる乙女ゲームのヒロインに転生だなんて、ごめんだ。


 そう、思っていた。


 そんなこんなで幼少期は過ぎていき、私はコーネリア・タンザナイトとして成人を迎え、やがて義理の両親であるタンザナイト侯爵夫婦が不慮の事故で亡くなってしまう。


 その影響で忙しくなったのが落ち着いてきた頃、ヒロインがうちのメイドとしてやってきた。


(ヒロインきたーーーー!!!)


 心の中で、全力で叫んだのは言うまでもない。


 タンザナイト侯爵家にメイドに来たと言うことは、ルークのシナリオと言うことだ。


 ルーク・タンザナイト、担当カラーは青紫。

 誕生日は九月一日で、黒い髪に青紫の瞳をしたクール系タイプ。

 頭脳派だが意外にも剣術が得意という文武両道の天才型。


 ルークのシナリオでは、両親が亡くなったのがルークのデビュタント前だったせいで、成人になるまで義理の姉に当主を任せる事になる。


 しかしルークは家督を奪われるのでは無いかと密かに葛藤する毎日を送っていた。


 ヒロインはタンザナイト家のメイドとして潜入する事となるのだが、その目的はルークの姉であるコーネリアで、まずはコーネリアに上手く取り入り信用を得ると言う計画だった。

 けれどなかなか上手くいかず、コーネリア付きの侍女になれずにいる中で、些細な事をきっかけに、ルークの葛藤を知ってしまう。


 心の内を知られたルークは、ヒロインの事を警戒しながらも次第に心を許していく。

 普段は笑顔を見せないルークが初めて優しい笑顔を見せてくれたシーンのスチルは最っ高に輝いて見えた。


 最高だった。大事なことなので二回言っておく。


 最終的にルークの義姉、つまりコーネリアは家督を奪おうとしていたわけではなく、次期当主であるルークに苦労をさせないようにと思っての行動だった事が判明し、わだかまりは溶ける事となる。


 不安だったルークを支えてくれたヒロインに、これからも妻として傍にいて欲しいとプロポーズし、ハッピーエンド。

 そんなシナリオだ。


 私は影から見守り、二人の幸せを祈った。


 そう、見守っただけだ。

 断じて横槍など入れていない。


 シナリオに義姉は出てくるが、ヒロインが侍女になれない事もあり、そう深く関わってはいなかったから、私も積極的に関わるようなことはしなかった。


 ところが、だ。


 ルークが当主に就任する、そのパーティーで、私は殺された。

 殺したのは、ヒロインの幼馴染にあたる暗殺者の一人。攻略対象のセオドア・コーネルピン。


 彼が奮ったナイフに倒れた私は、痛みに呻きながらルークの叫ぶような声を聞き、そして最後に見たのはヒロインの嫌な微笑みだった、という訳だ。



 そうして目覚めて見れば、ベットの上で。


 一命を取り留めたのかと思いきや、両親を亡くし葬儀を執り行った翌日にまで、二年近くの時間を遡っていた。



(……どうしてこうなった??)



 悪役令嬢でもないのに殺されるなんて、どういう事だ。

 しかも時間が戻っているし。意味がわからない。


 しばらく混乱に頭を抱えることとなった。


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