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神の箱庭 〜氷水の魔女編〜  作者: 杯東響時
第二幕「パラダイス・ロスト」
34/59

Case08「容疑者考察:前」

 リダウテン・ハウリッド。三十九歳男性。あと少しで四十代だとは思えないくらい若々しい容姿をしている。信仰を重んずる第五魔装師団の団長であり、また厄災戦を生き残った英雄とされていた。結果的に彼の魔法は不発に終わり、そこで全力を出し切ってしまったため前線で戦うことは無かったが、その後もわずかながらサポートを行い厄災獣討伐に貢献している。


「でもなんで彼?」

「候補自体は二人いてな。もう一人はプリカエルだ」

「——彼も?」


 プリカエル・プラクタ。年齢は非公開。魔法支援中心の第四魔装師団の団長であり、過度な愛妻家としても有名である。厄災戦では得意の超超超遠距離狙撃をもって周辺の敵掃討や前線で戦っていたガイナ、エイカムの支援を行っていた。


 しかしこの二人を候補に挙げるということは何かしらの怪しい動きがあったのだろうか。こうぱっと特徴を列挙したところでは男性、魔装師団団長、厄災戦に参加していたことくらいしか共通点は無さそうだが……。


「共通点というだけなら他にもある」

「——へぇ? なら聞かせてもらおうじゃないの」

「————二人ともほぼ無傷で生還している、ということだ」

「——————————————————あっきれた。それ本気で言ってる?」

「あ、あくまで共通点を述べるならという話だ! それに私は君とは違って推理などはあまり得意ではないんだ……」


 こほんと咳払いを一つ。取り繕うエイカムを世の女性が見ればギャップで萌えていたに違いない。しかし残念かな。ここには彼に微塵も興味がない女性しかいない。


 とそれは置いておいて。確かにあの激戦をほぼ無傷でってのは少し都合が良すぎるような気がしないでもない。勿論ハウリッドの厄災戦における役目は初撃の防御のみで、プリカエルは超超超遠距離からの狙撃。どちらも不自然ではないが気になりはする。


 ——まあ、彼も言っていた通りあえて共通項をあげるなら、って話でしょうけれど。


「あ、あと素人なりの推論は他にもある」

「へっぽこな推理だったら——」

「保障はできない……」


 大きくため息をつく。普段はピシっとしている癖に自分が苦手な分野となるとこうも弱気になるのか。だから女性からアタックされた時もあんなにたじたじと。新しい一面が見れてようやく自分にも心の余裕ができてきた。


「それで?」


 咳払いを一つ。


「ハウリッドはあの時厄災獣の一番近くで魔法を張ろうとしていた。いかにフェイントだったからといっても即座に反応できないような男だろうか……?」


 とりあえず頭から否定するほど間抜けな意見ではなかったが。


「それ、ただの主観よね? 比較的長い間一緒にいるから信じたくなるような気持ちになるのは理解できるけれど、推理という行為にそういう感情を混ぜたらよくないわ」

「む……。じゃあ《《一番先頭にいたハウリッドが無事で一番後方で戦っていた第二師団が壊滅したのは何故だ》》?」

「——確かに」


 正直少し離れたところで様子を見ていた前線組でさえ運良く射線に入って無かったから無事だったと言ってもよいくらいの連続即射だった。事実、回避指示自体は間に合ったものの第二師団は回避する間もなかったのである。それを何故一番危険地帯にいた彼が無事に済んでいるのだろうか。


 勿論彼は防御魔法のスペシャリストで辛うじて自分だけ守れたという可能性も否定しきれない。だが裏切者がいたという可能性が浮上した今、疑ってしまうのに一理はある。


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