表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神の箱庭 〜氷水の魔女編〜  作者: 杯東響時
第二幕「パラダイス・ロスト」
31/59

Case05「マーリン様!」

 〇シューメンヘル王国:王城内通路


 現在、(ワタシ)は入城して通路を速足で歩いている。内装はとても複雑で最初の方は迷うこともあったが、今では真っ直ぐに目的の場所へと向かうことができるくらいには慣れたものだ。目的地はイテグリア・エイカムの執務室。彼は厄災戦において王国騎士をまとめ率いた国お抱えの騎士であり、第一魔装師団の団長でもある。騎士というだけあって(純粋な剣の腕では)自分でも勝てないのでは? と思うほどに強い。少し男色家気味なのが残念ポイントだがイケメンでモテる。アーサーが騎士になるまでは困るくらいモテたらしい。


 さて、(ワタシ)は今速足で歩いていると言ったが、その理由を考察してくれていただろうか。え、してないって? いいのよ、しなくても。ホントにくだらない理由だから。


「マーリン様だ!」

「マーリン様、こんにちは!」

「本日もお美しい……」

「マーリン様しか勝たん!」

「マーリン様!」

「マーリン様!」

「マーリン様!」

「マーリン様!」

「マーリン様!」

「マーリ


「だああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!」


 聞いての通りだ。厄災戦にて一緒に戦っていた騎士達からは尊敬と敬愛の眼差しをここに来るたびに向けられるのである。実は皆が「マーリン」と呼ぶのは厄災戦の時の一シーンが原因であった。


 かつて熾天使ガブリエルに意識を乗っ取られそうになった時、《《彼》》のおかげで自我を取り戻し、「マァァァァァリン! ブリテンウィッカだぁぁぁぁぁぁ!」と気合を入れて攻撃したことを聞いていた騎士がいたらしい。その時の武勇伝と共に「マーリン」という名が知れ渡っていったのだ。


 しかも、だ。その語られた武勇伝ですら色々と尾鰭がついているので尚更恥ずかしい。正直今すぐ城から出てしまいたいと思うほどである。


 ——そういうわけにもいかないから、こうやって速足で執務室に向かっているのだけれど!!


 戦闘の記録が後の歴史に誇張されて残る、なんてあるあるだとは思うが——


「せめて厄災獣にかじりついてまで攻撃をやめなかった、なんてのを広めるのは——」


 エイカムの執務室に着く。歩くこと十分くらいだろうか。一刻も早く人の目から逃げたいという一心で勢いよく扉を


「やーーーーーーーーめーーーーーーーーーーてーーーーーーーーーーーー!」


 開けると、そこには十数人ほどの騎士がエイカムの前に立って彼の話を聞いている最中だった。視線が一斉に集まる。なんと居心地の悪いことか。


「——あぅ、失礼しました……」


 静かに扉を閉めるとすぐ外の廊下にて体操座りをする。ノックのせずに入室した上、恥から逃げようと更に恥を重ねるなんて、なんて本末転倒なんだろうか。恥ずかしいったらありゃあしない。


「はあ。先走りすぎよ、(ワタシ)


 それからしばらくは同じ体勢で、彼らの話が終わるのを待っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ