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神の箱庭 〜氷水の魔女編〜  作者: 杯東響時
第一幕「マリン・ブリテンウィッカの事件簿」
19/59

幕間2「これが間違いなのだとしたら」

 アーサーと戦ってる時は正直自分が自分じゃないとさえ思えるくらい正気ではなかった。頭の中に怒りと悲しみと愛しさと苦しさと様々な感情が一挙に湧き上がりわけがわからなくなっていたのである。薄れゆく意識の中でそう冷静に振り返っていた。


『それくらいあるわよ』


 まあ勿論怒りが感情の大部分を占めていたのは間違いない。


(ワタシ)にだって』


 《《相手の失言はまだ許せる》》。だってそれを引き出してしまったのは——


『——そういう人はいた』


 ——(ワタシ)の失言だ。


 私は自分の中で、どこか諦めてしまっていたかもしれない。


五年と少し前、彼と初めて会ってしばらくの後、彼の魔力不足を補うために私は契約をし二つで一つの魔力タンクとしたことがある。同時に私は天使の中でも最上位に位置する『熾天使』、ガブリエルとも契約をしていた。


 ——まあその契約は厄災戦のごちゃごちゃで一方的に破棄した形になっちゃったけれど。


 それでも微小ながら胸の奥に何かの繋がりを感じるのだ。当然彼が死んでいれば契約の跡なんて消えているはず。ガブリエルとも契約を切ったというのなら生存の確率の方が高い……と思っていた。


 ——でもこれが間違いなのだとしたら?


 実はガブリエルとの契約が残っていたとしたら? 自分から契約を破棄しただの言っていたのに何をと言うかもしれないが。《《ならば何故出所不明の左腕があるのか》》。《《魔眼は誰が発現させている力なのか》》。少なくとも自分のものではない。であるならば氷といえば答えは一つしかない。


 ——何かの気紛れであちらが契約を無理矢理維持していて、かつ(ワタシ)の欠損部分を補っている。


 本当はそう考える方が魔法使い的には自然なのだ。だがそうなると一つの疑問が浮かび上がる。


 ——(カレ)との契約は……?


 わからない。何かの契約が残っていることはわかるがそれ以上のことがわからない状況でこの可能性に辿り着いてしまえば彼の生存に対する根拠を失ってしまう。それだけは嫌で必死に目を背けてきたつもりだったが、心の奥ではどうやら気付いてしまっていたらしい。


 ——(カレ)は死んでいる。


 私だけではない。周りで何人もの人が彼の死を見ていた。ならばそれは疑いようがない。ただ事実の確認ができないというだけ。わかっていたのに。


わかっていたのにわかっていたのにわかりたくなくてわかりたくないけどわかりたくてわかりたいけれどやっぱりわかりたくなくてけっきょくわからないということにしておいたほうがいちばんらくなんだということがわかったけれどけっきょくきづいてしまったのだからしかたがない。


 ——そろそろ魔力切れそう……。何回か『■■■■』を使ったから爆速で無くなっちゃった、わ……。


 ——待って。


 意識が落ちる。まさに一瞬直前に——




『あれ。《《コレ、マリンも使えるのか》》。ま、繋がってるんだから当然か』




 いつか(ワタシ)が彼を通して魔法を使ったように。無意識に『■■■■』を引っ張りだせたのだとすれば——


 そこで完全に意識は海の底に沈んだ。


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