転生悪役令嬢は考える
フェルタシアとの初対面を経て、数日。
私がたどり着いた結論は、傍観である。
彼がマトモなままなのは、困るから。
今の彼は、おそらく王子タイプ。
キャラが被っちゃう……!!
キャラとアリアの恋を確実になりたたせるためにも、多種多様なイケメンを揃える必要がある……乙女ゲーの制作者みたいなこと言ってるな私。
婚約破棄は、フェルタシアが王子タイプから、愉悦犯に変わってからじゃなきゃ、無理。
フェルタシアの人格形成に影響が出るのは困る。
どうせ、あのあと泣くのも忘れてぽけっ、としてた私の事なんて、フェルタシアは気にしてないだろう。
私が、フェルタシアに婚約破棄されたあと、嫁げそうなのがいないのも、彼の人格形成への影響を考えれば些細なことなんだよ、うん。頑張れ、私。強く生きよう。
読んでいた本を置き、ベットにゴロリと寝そべる。
一人ぼっちだなぁ。
6歳なんて甘えたい盛りだろうに。
この家の人は、私に興味がない。
もしくは、敵意を持っている。信用出来る人なんていない。
……少し、考えた。なんで私は、メイリーになったんだろうと。
もしかしたら、メイリーは、寂しかったのかもしれない。
ティフォニーも、みんないなくなって、一人ぼっちで。
一人ぼっちで、死ぬのは嫌だ。
瑠花が、なんで死んだのかはわからないけど。きっと一人だった。
自分の頭に手を乗せ、数回撫でる。
……本で調べたところ、私の中に私の前の人格……『メイリー』がいる可能性は、かなり高いそうだ。
流石、魔法世界。転生などもまれに有るらしい。
まぁ、その事が書いてある本は、禁忌書のようで、厳重に鍵付き保管されていたが。
誰にでもあると思いたい厨二病を患っている時に、練習したお陰で鍵くらいなら、開けれる。
それは置いといて。
つまり、『メイリー』は、今、私のなかにいる。
『メイリー』を復活させたら、瑠花は消えるようだが、それは別に良い。
私は、『メイリー』が生きてくれるなら、『メイリー』が幸せなら。
それで充分。
ともかくの、目標が決まった。
その1 敵を排除する。
その2 フェルタシアとの婚約破棄。
その3 アリアの恋を成就させる。
その4 甘えられる相手を見つける。
その5 『メイリー』を幸せにする。
……この5つを叶えるために、今、出来ることは。
ティフォニーを私の専属侍女から、外す。
まずは、ここから。
待ってて、『メイリー』。貴女は瑠花が幸せにする。