転生悪役令嬢は婚約者(仮)と出会う
フェルタシア・アイラン。
『オモチャの国のお姫様』攻略対象。
渾名は、プレイヤー泣かせ。
「頑張って」と「頑張れ」の違いで好感度が駄々下がりになる彼は、今世の私の婚約者。
「初めまして、メイリー嬢。僕の名前はフェルタシア。フェルタシア・アイラン。君の婚約者だよ」
「……初めまして……?」
さいっあくだ。
なにがって? 前世を思い出した翌日にヤバめの婚約者(仮)と出会ったことがだよ!!
……昨日、私は悩みに悩んだ結果、一つの計画を立てた。
そこは、あとで説明しよう。
そして、次の日。
ティフォニーに、おめかしさせられて、馬車に乗ると……馬車? いや、ここは気にしちゃダメなとこだ。この世界には馬車がある。OK。
んで、なんか部屋に案内されて、彼と二人きりにされた。
そして、冒頭
以上!
メイリー は 混乱 している! ▼
「あの……婚約者……?」
「あれ? 伯爵に聞いてない?」
「聞いてないです……」
そう、聞いてないのだ、メイリー(私)は。
困った顔で首をかしげるフェルタシア八歳の前で私は、考える。
は! 今こそ、昨日考えた計画を実行するときでは?
名付けて、コイツ面倒くさい奴作戦!
フェルタシアは、つまらないことと普通、面倒事を嫌う。
つまり、私がとるべき行動は1つ。
親に甘やかされまくった女の子を演じること!
「ふ、ふぇっ……かあさまぁっ…とおさま……っ!」
「……メイリー嬢?」
「めいりぃ、ひとりはやだぁっ……あぅ……わぁぁん!」
……言っておくが、私は泣き真似ド下手ガールだ。
よってこれは、ガチ泣きである。ふふ……前世より悲しい立場に転生したことを思えば涙くらい出てくる出てくる!
……自分で言ってて悲しくなってきた。
まぁ、とりあえず。
私の知識が正しければ、なんだ、コイツ……となるはずだ!
何故なら、コイツは普通と面倒事を嫌うフェルタシアだから……。
『メイリー』のために全ルートクリアしたんだから、そのくらい当たるはず……。
「……メイリー嬢、大丈夫?」
……はい?
フェルタシアが私の顔を覗き込む。
その綺麗な顔には、心配そうな色が浮かんでいた。
これは……。
……もしかして……フェルタシアは、今の時点では普通……だったりする!?