転生悪役令嬢は認める
「……えとーーーあの」
「はい、なんですか……?」
……沈黙が怖い。
ナニコレ、何この謎の沈黙。
そういやヒロイン人間不信になりかけてたとかなんとかあったな〜。
そして私は陰キャオタク。
コミュ障×2で会話が弾むわけがなかった。
あの倉庫からヒロインを取り出し数十分。
殆ど使うことのない狭い自室で私はヒロインと向き合っていた。
「なんで私のこと助けてくれたの?」
おずおずとそう訪ねてくるヒロインは文句なしに可愛い。メイリーの次くらいに。
「別に助けたつもりはないですけれど。兄様に人を殺させたくなかったのと、あとは……協力してほしいことがあるんです」
そういうと彼女は桃色の大きな瞳を瞬かせて、小さく首をかしげた。
「メイリーには、私が来ることがわかってたってこと? 私が誰なのかも……」
「……はい。えとそうですね……はじめましてとはちょっと違いますけど、こことは別の世界の、お姉ちゃんですよね。よろしくおねがいします」
「……凄い」
ヒロインは少しの間視線をさまよわせると、困ったように笑った。
「この世界のメイリー、まだ6歳なのに頭いいんだねぇ……いや、私が君のことなんにも知らなかったからそう感じるだけなのかなぁ」
へにゃぁ、と眉を下げているところを見るに敵意は一切なさそうだ。
それから、何かを諦めたような表情を見るにおそらく……。
「そっちの私はもう死んじゃったんですね」
そうため息まじりに言うと、ヒロインは、こくんとうなずいた後、顔を歪めてぽろぽろと涙をこぼしはじめた。
そして、嗚咽混じりに小さく言葉を吐く。
「……ごめんね……なんでか、わからないんだけどね……。
みんなに聞いても処刑されたとか、公爵家がどうとか、アズもメイリーが悪いからって、」
ごめんね、こんな事言われてもわからないよね。
そう言って涙を拭うヒロイン……アリアにやっと違和感の正体がわかった気がした。
このヒロイン、多分エンディングに辿り着く前だ。
まだメイリーの死を受け入れられてない、すっごく鈍感なだけの優しいお姉ちゃんのときの。
メインストーリーはヒロイン目線で進むから、だからこそ、わからなかったアリアの一面。
この姉妹は実は割と似ていたのかもしれない。
不器用で、優しくて、寂しがり屋。
あんなに嫌悪感を感じていたヒロインと関わることになんとも思わないのはーーーこの子が本当に悲しんでいて、メイリーが処刑されたことに納得できていない、妹が死んだあとに「幸せです」などとほざくゲームのヒロインじゃないから。
なあんだ、ちゃんとお姉ちゃんやってたんじゃないか。
だからって、この世界のヒロインを好きになりはしないけど。
でも、元お姉ちゃん兼妹として少しだけ目の前のこの人を認めてあげよう。
こんなことをして許されるかもわからないけど。
……素直になれないままおわったらしいアリアの元の世界のあの子の優しさを、
「あんまり擦ると目腫れちゃうよ、お姉ちゃん」
少しでも伝えてあげたい。
サブタイトルを転生少女にするかでめちゃくちゃ迷いました。
※補足(作者の語彙力がなさすぎてうまく入れられませんでした……ごめんなさい)
妹に読んでもらったところ、最後がよくわかんないと言われたので補足。
メイリー(転生後)はもともと真ん中っ子で、下の子が甘え上手だったこともあり、とにかく人の涙に弱いです。
そして、妹の気持ちも姉の気持ちもわかるので、アリア(未来)を妹として姉として、優しい姉だと認めました。認めたのはアリア(未来)だけですので、ヒロインは嫌いなままです。妹こと、メイリーの気持ちも理解できるからこそアリア(未来)に対してはメイリーのふりをして接することにしました。
ちなみにアリア(未来)がアルテアを助けたとしてもアリア(未来)の世界でアルテアが生き返ることはないです。
書いた後気付いたんですが、()を多すぎて読み辛いですよね……重ね重ねごめんなさい。




