転生悪役令嬢は嘘をつく
お久しぶりです。
……更新長らくしておらずごめんなさい。
久々にページ見てブクマ60超えてて喜び散らしました。
感謝!
「……ん」
薄く目を開けると、そこには天使がいた。
失礼、こちらを心配気に見つめる私の推しの一人、アルテア(ショタの姿)がいた。
……は……かわよっ!?
まつ毛ながっ。髪の毛ふわふわ、目の色めちゃくちゃに綺麗!
こんな天使みたいな顔しといてイタズラっ子で、その上中身が幼女通り越してばぶなのマジ有罪なんだけど!?
「メイリー? 起きたの?」
ポカンとしているとぱぁっと顔を明るくしたアルテアは、ぎゅむ、と私を抱き締めた。いや、私じゃなくメイリーだけども。
「兄、様……」
そっと抱き締め返すと優しく頭を撫でられる。
推しに頭を撫でられるという世のオタクに殺されそうな状況にいながら、私は別のことを考えていた。
メイリー、ばっちばちに生きとるやん!!!!
CV:赤根 桃華やん!
……頑張ってって!!!
そんなことを考えながら、時計を見つめると。
半日も経っていなかった。
「メイリーが倒れた理由、寝不足だぁって。ちゃんと寝なきゃメッだよぉ?」
ぷんすこと音声がついていそうな怒り方はとても十歳の男子とは思えない可愛らしさ。
そんなことを考えながら、フリーズしていると不思議そうに顔を覗き込んでくる。
「……メイリー、どーしたの?」
「なんでもない……帰ってきてたんだね」
そういうと、アルテアは天使のような微笑みを浮かべた。
「見せたいものがあったんだよね~♪」
なんだろうと首をかしげると、ポケットから、小箱を取りだし、ポンと私の手に置く。
「これって……?」
「ちょっと遅れちゃったけど、メリークリスマス!
可愛い妹にプレゼント~!」
そういって満足気に笑うアルテアに、彼がなくなったあと、メイリーがフェルタシアに依存気味だったのもわかる気がした。
彼と最後にあった2ヶ月前と比べ、同年代には気味が悪いと思われかねない口調になっているのも触れてこない。
「開けていい?」
「もちろん」
蓋を開けるとどこかで見かけたような黒のリボンが二つ入っている。真ん中には雫型の薄い紫のチャームがついていた。
『ブルーローズ』のメイリーが付けてたやつ……。
「どー?」
ぼんやりと見つめていると、アルテアがおずおずとそう言ってくる。
「兄様」
「ん? どーしたの」
アルテアは不思議そうに目を瞬く。
手の中の小箱から、リボンを取り出し優しく胸の上で抱きしめた。
「大好き。ありがとう、大切にするね」
甘えられる人間、見つかった気がする。
「……どういたしまして♪」
……なんというか、兄様さえいれば、私いなくても良くないか?
「そういえば、兄様ティフォニーは?」
ここはメイリーの部屋のはずだ。図書室からそのままきたなら……。
「……メイリーに話したいことがあったんだ〜。
だから、人払いしてるの」
これが本題じゃなかったのかと、手の中のリボンを見つめる。
「?」
「メイリーさ……無理、してない?」
「むり?」
首を傾げると兄様は気まずげに言葉を紡ぐ。
予想してない言葉に思わず、オウム返しをする。
「フェルと、婚約したんでしょ?
それ、すっごく、俺的には嬉しかったんだぁ」
フェルは俺の親友で、家族だから。
そう言って兄様は俯いた。
「でも、メイリーはどう?
嫌だったら、なんとかしてあげるから」
正直嫌です。
そう言いかけて、思いとどまる。
「……ううん、無理なんてしてないよっ。
兄様が信頼してる人ならきっと私のこと幸せにしてくれるもの」
そういうとほにゃりと笑った兄様に、自分は間違えていないとホッとする。
この嘘はきっと、メイリーを守ってくれる。




