甘さと口実
トロリとした琥珀の酒を飲み干し氷の瞬くグラス越しに見る奴の姿が、どんな酒よりも芳醇で艷やかで……甘ったるい。
そんな奴の姿にまた渇きを覚えてもう一杯もう一杯と酒を煽る。
あゝ、喉が…体が…心が渇いて仕方がねぇ。
恋の発作がこんなにも飢えて熱い何て誰か教えてくれたって良いじゃねぇか。
「今日は随分とペースが早いんですね。」
「あぁ、少し…乾いててな。
だけど今日はここで止めとくよ。
ところでお前さん…猫は…その、好きだったりするかい?」
一段と顔が熱くて堪らない。
少しでも冷やそうとお冷の氷を噛み砕く。
「猫ですか?
ええ、とても好きです」
「うちに居るんだが今度良かったら……。」
今宵の熱はいつも以上に中々醒めそうに無い。