第3話
倒せそうな魔獣としてスライムがあった。距離もそんなに離れてないし、倒してみよう。お母さんにもそのことを伝えると、まあいいんじゃない?って感じで許可してくれた。緩い。これで私が死んだらどうするんだろう?
まあ、その緩さに私も助かっているけど。もしかしたら、魔獣は、これが普通なのかもしれない。
考え事をしている間にスライムのところに着いた。こちらの姿は見えないがスライムの姿は見えるところで一旦止まる。ちなみに、事前に確認したスライムのステータスはこうだ。
スライム
名前:
レベル3
体力:15
魔力:20
〖スキル〗
回復
〖固有能力〗
触手操作
物理攻撃無効
〖称号〗
雑魚と笑われたもの
このステータスを確認した時世界辞書なんか『ぷーくすくす雑魚っ』って笑ってたな。その瞬間に称号が現れていた。可哀想だな。だって雑魚と笑われたものだぞ?か、かわいそ、ぶふっ くすくすw
あれ、笑われてたのにきずいたのか?こっちを見たぞ?
触手がひゅんっと伸びてくる。
ふぅー
さて、初戦闘だ。
伸びてきた触手を余裕でかわし、私は茂みを飛び出した。さらに伸びてきた触手を交わしながらスライム本体へと進んでいく。そして、思いっきり爪で引き裂こうとした。だが、引き裂けない。ブニョンと変形しただけだった。
ちっ。
そう言えば物理攻撃無効だったな。
〖闇創成〗
イメージは、槍
すると私の影から、黒色の槍が出てきてスライムの方向へ飛んでいった。
そしてそのままスライムの体に突き刺さる。
「キュアアアアァァァ」
スライムは、苦悶の声を上げた。
スライムってこんな声出すんだな。
っていうか、これは物理攻撃なのか?
あ、でもスライムにちゃんと突き刺さってるから、物理攻撃では無いんだろうな。スライムは、触手で槍をぬこうとした。がそれを私は許さない。今度は2本の槍を使い、今度こそスライムの体力はゼロになった。もうピクリとも動かない。
やっぱり体力がゼロになると死ぬんだな。
私はたしかに命を奪ったというのに何も感じないんだな。早くもこの世界に順応し始めているのか。それとも、私は元々残酷な人間だったのか?
『レベルが上がりました。』
ふと、そういった声で我に返る。
今は、喋り方が違うんだな。私のシリアスな雰囲気を感じとって喋り方を変えてくれたのかもしれない。
『いや、別に。レベルが上がりましたっていうのは何となく敬語にしてるだけだよ〜。』
前言撤回だ。
『っていうか魔物1匹殺した程度で罪悪感感じてて、どうすんだよ?これから山ほどの魔物殺すのにさ。』
確かに…
それに、罪悪感を感じないのはこの世界では当然なのかもしれないな……
『その調子でやっていけばいいんじゃないか?じゃないとすぐにつかれるぞ。』
そうだな。っていうかさっきからキャラ崩壊してるぞ。
『っ!? そうだった。……この喋り方でもいい?』
まあ、別に構わないぞ。すごく人格が変わったな?
『ああ、信じられないだろうけど俺さっき転生者なんだよ。いや能力だから、転生能力か?…まぁどっちでもいいか。だから、前世の喋り方の方が馴染みがあるわけ。だから、この喋り方の方が楽なんだよ』
は!?
『いや、なんか死んだらボードが現れてな、死ぬのも痛いのも嫌だから、システムかなんかにしてくれって願ったんだよ。そしたらそれがかなったって感じかな?』
……ずるい、私も痛み感じなくなりたいし、死にたくないし。お前だけとかずるすぎだろ。しかも私はボードに誤って触れてしまったせいで魔獣に転生したんだぞ?魔獣だぞ?討伐対象なんだぞ?死ぬ可能性高いんだぞ?
『は?お前も転生者なのか?うわ、変な巡り合わせもあるもんだな。』
ちっ。てめぇは黙ってろよ。
『うわぁいきなり粗雑に扱うなぁ。俺悲しいぞ。』
……
『一応自己紹介しとくな。俺は東京都住在の中1だった。』
ちっ私の方が年上じゃないか。こんな奴に慰められてたとかガチでイラッとする。
私は神奈川県在住の高3だった。
『あ!世界辞書って名前呼びにくいだろ?アイラが名前付けてくれよ!』
ウザ ウザ太郎とかでいいだろ。
『ええ、それはさすがに嫌だよ。あ、できるなら、アイラみたいな異世界系の名前にしてくれ!』
おまえは男だよな?
『そうだよ!』
…レオは?
『うーん、いいんじゃないか?』
じゃあ非常に不本意だが今日からよろしくなレオ。
『ああ、よろしく』