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規制の声

「近頃テレビが面白くなくなった。それは番組の構成にクレームをつけるクソ野郎どものせいだ。


などと言う輩がいるが、そういう連中は、自分の気に入らんアニメはクソほど叩く。自分のやってることが、<テレビ番組にクレームをつける行為>だということを分かってないのだ。


やれ、『クレーマーのせいで規制まみれになった』とか言っておきながら、自分は、『こんな脚本はダメだ』『こんな演出はクソだ』『こんな展開はゴミだ』と言って、『こんな脚本は使うな』『こんな演出は使うな』『こんな展開は使うな』と<規制>しようとする。


まったく、自分のことは自分では見えないとはよく言ったものだ。自分が罵ってる相手と同じことをしていると気付こうともせん。


そんな連中の言うことなど気にせず、アニメはのびのびと作って欲しいよ。


その結果、私にとっては面白くないアニメもできるかもしれんが、私にとっては面白くなくてもそれを面白いと感じる視聴者は必ずいるだろう。私はそのアニメは視ないし評価もしなくても、『私が面白いと感じないものは価値がない』わけじゃないからな。


また、よく『昔のアニメは面白い』とは言われるが、それは単に、『多くの人間が面白いと感じたアニメが長く語り継がれる』だけで、その陰にはまったく話題にもならずに忘れ去られていった数多くのアニメがあったというだけなのに加え、昔はもっと手探りで作っていたがゆえに、『こんな脚本は使うな』『こんな演出は使うな』『こんな展開は使うな』と<規制>しようとする連中の声も届きにくく、野心的であったり挑戦的であったりというアニメが多かったのだと思うのだ。


それがいつしか、視聴者におもねるあまりに、『こんな脚本は使うな』『こんな演出は使うな』『こんな展開は使うな』という<規制の声>に惑わされるあまりに、思い切ったことができなくなっているのだと私は思うのだ」


「……って、それ、以前にも同じようなことを言ってませんでしたか?」


「お…おう、そうか? そうかもしれん。だが、最近気に入って視てるアニメの評判が芳しくなくてな。つくづく私の感性は世間一般とはズレてるのだなと思い知らされてるところだ」


「でしょうね。でも、先生のそれは、確実に一定数の根強い評価は受けているんです。しかも移り気な読者の中で、まるで<固定客>のように先生の作品を買い支えてくださっています」


「ありがたい話だ」


「そうですね。いろいろ言われたりもしますが、これもまた事実なんですよ」


「ああ…分かっている……」


と一区切りついたところで、


「ところで例のストーカーの件なんですが……」


さくらは話題を切り替えたのだった。



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