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絶好調

「最近、


『面白くないと言ってる者は面白くない理由を述べているが、面白いと言ってる者は面白い理由を述べていない』


などと言う奴をちらほら見かけるが、そんなことを言う奴は、自分の言ってる理屈が破綻してることをまるで気付いておらん。


こういう奴ほど、本人が面白いと思ってるものを、それにまったく興味のない人間に『どこが面白いのか』を説明させれば馬脚を現すのだ。


なぜなら、<面白くない理由>はいくらでもこじつけられるが、<面白い理由>は、所詮、どこまで行っても本人の感性の問題だからな。


まるで興味のない人間にいくら面白さを説いても、『ふ~ん。それで?』と言われてしまえばそれは<面白い理由>にはならない。


理由をいくら説明されても、説明された方が興味を持てなければ、共感できなければ、それは理由とはなりえないのだ。


で、自分が精一杯<自分が面白いと思う理由>を語ってみせても『ふ~ん。それで?』と言われたら、その後はどう説明するつもりだ? 


自分が面白い理由だと思っているものは、相手にとっては理由にならんのだぞ? それでどうやって<面白い理由>を説くつもりなんだ?


面白いのも面白くないのも、大部分が自分の感性に合うか合わないかで決まるのだ。


百人中九十九人が『面白くない』と大合唱するものであっても、一人にとっては『面白い』と感じるものもあるだろう。


他人が面白いと思うものを貶す奴らは、自分がその<百人のうちの一人>の立場になった時、どうするつもりだ?


『九十九人が面白くないと言ってるんだから面白くないんだろう』


と言って、自分が面白いと感じたものを『面白くない』と言うのか? そんな奴の言説のどこに説得力があると言うのか?


誰が何と言おうと、本人が『面白い』と感じたのならばそれはその者にとっては『面白い』のだ。


この当たり前の道理が理解できんで、<面白さ>を語るでないわ!


いや、語るのは勝手だが、それで他人が納得するとか思うなよ!?」


「…相変わらず絶好調ですね、先生」


「応ともよ。ミハエルとエンディミオンの件もどうにか落ち着いているからな」


「だけど、解決したわけじゃないですよね」


「そうだな。それは確かにその通りだ。しかし、ミハエルが今もこうして無事ならそんなものは些細な話だ。危険があるというだけなら、交通事故と変わらんし」


「そうか…そうですよね。交通事故の危険があるからって自動車をなくすわけにはいかない。それと同じようなものだと考えればいいのかも知れませんね」


「ああ。もちろん、バンパイアハンターと自動車を同じに考えることはできない。だが、そもそもなぜバンパイアハンター、いや、ダンピールというものが生まれたのかと考えたら、彼をただ排除するというのは、果たして道理に適っているかと考えてしまうのだ……」



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