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雑音に怯えて

「読者という奴は、本当に身勝手だ。自分はただ与えられるものを消費するだけでありながら、さも分かったようなことを言う。


<岡目八目>という言葉を知らんのか!? 


読者が作品の演出や構成に口出しするなど、プロ野球の中継を見ている酔客が選手の起用論や戦術を語るのと同じだと何故分からん!?


特に最近、不愉快なのが、<悪い癖>という言葉を使いたがる奴だ!


『作者の悪い癖が出た』とかな。


だがそれは、単に好みの問題である場合が殆どだろうが! お前好みの演出や展開じゃなかったらそれは<作者の悪い癖>か!?


お前の好みなど知らん! 誰だお前は!? どこの誰様だ!? 


『読者様だ!』ってか!?


今時、『お客様は神様です』とか言うつもりか!? ただのモンスターカスタマーではないか!


金を払う奴が偉いなど、時代錯誤も甚だしいわ!!」


「……先生、それ、絶対にネットとかで発信しないで下さいよ。下手したら致命傷にもなりかねませんから」


「ふん! 匿名に隠れて声だけ大きい有象無象共か…! くだらん! そういう奴らをのさばらしてることが創作の矮小化弱体化に繋がってることにいい加減気付くべきだな……!


創作とは本来、くだらん雑音に惑わされずに自由に行うべきものなのだ! その中で、誰かの心に刺さるものが生み出されれば、それだけで創作は意味があるのだ! 雑音に怯えて遠慮していては、ただ読者に媚びた、<売れるテンプレ>に倣った模倣品のようなものが大量に生み出されるだけだ! そこに創作の悦びなどない!」


「ああ……それについては私も共感できなくはないですけど、でもやっぱり私以外の人の前では言わないでくださいね。そんなことで先生が潰されるの、私、イヤですから……」


「……あ、まあ……そうか。お前がそう言うのなら、自重はするが……」


「…私達出版社が、<作品>を<商品化>してお金に換えているというのは紛れもない事実です。だけど、そうやって作品をお金に換えないと作品作りを続けられないというのも、やっぱり事実だと思うんです。


同人という形もあるかもしれませんけど、それでもやっぱり、まず生活ができなければ創作を続けることもままならないでしょう?


私達は、そういう部分で行きつ戻りつ、綱引きを続けながら、<作品>と<商品>とでバランスを探りながら、力を合わせてやっていくしかないと思うんです。


私は、先生の作品が大好きです。先生の作品を扱えることが何よりのモチベーションになってるんです。仕事というだけじゃなく、私自身の人生の、いわばエンジンになってるんです。


先生、だから、いつまでも作品作りを続けられるように、一緒に試行錯誤を続けましょう。<売れる商品>になる<作品>を模索し続けましょう。私はその為にいるんです」




ミハエルとエンディミオンの<邂逅>の翌日にはもう、アオとさくらは上記のようないつも通りのやり取りをしていた。大変だったのは事実だが、二人とも、それを理由に仕事を疎かにはしたくなったのである。


共に生き甲斐でもある好きな仕事であったが故に。



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