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今日は休もうか

とにかくそんなこんなで、アオの悪ノリ全開の家に、さくらとエンディミオンとあきらは住むこととなった。


しかし、さくら自身はアオがそういう人だと分かっているし、エンディミオンの方は、およそ<家>と呼ぶのもおこがましいような、いつ倒壊してもおかしくないバラックに住んでいた時期もあってそれに比べれば造りがしっかりしているだけマシだと考えていたし、洸はそもそも<お姉ちゃん>がいるということでもう完全に<自分の家>と認識していたので、何も問題はなかった。


「本格的な片付けは明日以降にして、今日は休もうか」


さくらの提案に、


「好きにしろ」


とエンディミオンは素っ気なく応え、洸は、


「は~い♡」


とにこやかに応えた。


ちなみに洸にとってエンディミオンの認識は、当然のように<お兄ちゃん>である。ただし、『お兄ちゃん』と呼ぶと不機嫌そうな表情になるので、「エンディ」とニックネームで呼ぶようにしているが。


また、彼がダンピールであることも理解していた。これも本能的に察知していたようだ。


ただ、洸自身は、外見上は五歳くらいにも見えるものの実際にはまだ生後数ヶ月なので、言葉はそれなりに話すとはいえ、その印象は見た目以上にあどけない。たぶん、人間で言えば二歳くらいの感じだろうか。


長く話そうとすると舌足らずな部分が出るし、朗らかで甘えっ子で物怖じしない。


とても可愛らしい男の子だった。


そんなこんなもありながら夕食は出前のうどんにして、それから三人一緒にお風呂に入る。


「おふろ~、おふろ~、おっきぃ~♡」


さっそく温室内に設えられたそれに入ると、ずっと入ってきたアオの部屋のそれよりも一回りほど広いバスルームに、洸はとても楽しそうだった。


それとは対照的にエンディミオンは黙って体を洗い、湯船には浸からずさっさと出て行ってしまう。これもいつものことなのでさくらはもう気にしなかった。


しかし洸は新しいお風呂が気に入ったらしく、湯船から出たり入ったりして遊んでいた。


「……」


エンディミオンとはまるで違う様子に、さくらは目を細める。


さくらもせっかくだからと髪の手入れなどを丁寧に行ったことでたっぷりと一時間くらい入って、ようやく満足したらしい洸と一緒に上がった。


リビングでは、積み上げられた荷物の谷間でエンディミオンがテレビを見ていた。


このままリビングでいてもよかったのだが、さすがに荷物に埋もれた状態では落ち着かないので、三階の寝室へ向かう。


すると洸は早速、階段ではなくクライミングウォールを上って二階へと上がった。それからも素直に三階へは上がらず、二階で一通り遊んだ上でようやく寝室へと向かったのだった。



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