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吸血衝動

「そうか、これがうどんなんだ…! ロシアで食べたのとは全然違う…!」


輝くような笑顔でそう言うミハエルに、霧雨、いや、アオは、自分が褒められたように嬉しくなって、


「あはは♡ これでも冷凍のうどんだから、ホントに美味しいお店のに比べれば『それなり』なんだよ。もしよかったら今度、お店のうどんを食べに行こうか?」


と提案した。


「いいの? それは楽しみだ…!」


喜ぶミハエルの姿は、本当に子供のようだった。


『これで私よりずっと年上とか、信じられないな。成長が遅い分、精神的な部分の成長もゆっくりなのかもしれないけど。


ああでも、すごく大人びて見えることもあるから、やっぱりただ子供なだけじゃないのかもね』


うどんを啜りながらそんなことを考えてしまう。


『でも、そのアンバランスさがまたミステリアスで、いいね…♡』


ミハエルと一緒の時間を満喫し、アオはお腹だけじゃなく心も満たされていくのを感じていた。


でも同時に、ふと思ってしまって、


「吸血鬼も、人間の食べ物を普通に食べられるんだね」


頭に浮かんだことがそのまま声に出てしまった。


それに対してもミハエルは事もなげに、


「食べられるよ」


と応えた。だがその後ですぐ、


「ただ、すごくお腹が減ってたりすると吸血衝動を抑えるのが難しい時はある。お姉さんの血を貰った時がそうだったんだ」


とも付け足した。それでもアオは、平然としていたのだった。


「ふ~ん、そういうものなんだ?」




食事が終わっても何となく原稿に向かう気が起きず、アオは片付けをしてくれているミハエルに向かって言った。


「私、先にお風呂に入るね」


お風呂でさっぱりして気分を変えればまたやる気が出るかと思ったのである。


タイマーでセットしてあったからすぐに入れるし。


「分かった」


ミハエルもそう応じて、振り返る。


「♪~」


それに手を振りながら軽く鼻歌を歌いながら、アオはバスルームへと入った。


ただ、お風呂に入る度についつい意識してしまう。


『見た目は子供とはいえ、やっぱ<男性>なんだよね~。男性がいるところでこんな風に無防備になるのってなんか不思議……』


自分の小説の中でも、少年を男性として意識してしまうヒロインの姿を描いたりもしたが、実際に気になるものなのだと実感してしまった。


だがそれと同時に、


「彼は<合法ショタ>なんだし、一緒に入るってのも、許されるんじゃないかな~……」


と、体を洗いながら声に出してしまった。


「ああでも、こんなだらしない体の<オバサン>じゃ、彼の方が嫌かな~……」


なんてことも考えてしまった。


だから、『一緒に入ったりしたいな~♡』とは思いつつもそれは口に出せなかったのだった。



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