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些末な問題

「私がこんな話をするのは、あきらが大きくなってどのように生きるにしても、そこで強く生きていって欲しいからなのだ。


この世は、自分の思い通りにはならん。ウェアウルフという出自は、この子にとっては足枷になる可能性も高いだろう。


だが、それでも、なのだ。


それでもこの世界に生まれてきたことを喜ぶことはできる。私も、今は生まれてきて良かったと思えてる。


理不尽な世間に叩かれようが、自分の感性を世間が認めてくれなかろうが、そんなことは些末な問題に過ぎん。


私はお前と出逢い、ミハエルと出逢い、今またこうして洸と出逢って幸せなんだ。アンチの相手などしてる時間すら惜しい。そんな連中の相手をしている時間があるなら、それをお前達とこうして過ごす時間にしたい。


他人は自分の思い通りにはならん。自分の思い通りにならんものを自分の思い通りにしようとして上手くいかずに神経をすり減らすなど愚の骨頂だと私は思う。


それを、今回の騒動は教えてくれていると私は思うのだ。


どれほど反撃しようとも、工作しようとも、何も事態は好転しないではないか。むしろますます悪くなっている。


最初から話を聞く気もない輩と話をしようというのがそもそもの間違いだ。


なんとか意思疎通を図る努力はいい。しかし、現にそれができないことが分かってからも固執するのは賢い選択ではないのではないか?


元より、視聴者や読者が身勝手なものだというのは、はるか以前から分かってることではないか。それを黙らせるのは望んでるものを提供するしかないが、そもそもその<視聴者や読者が望んでいるもの>というのがあまりにも曖昧模糊過ぎる。


それが明確で、道理の通ったものであるのなら、人気作家は常にヒットを飛ばし続けることができるだろう。メガヒットした後の次の連載で打ち切りを食らうこともないだろう。


才能に溢れた人気作家ですら掴み切れないからこそ、どれほど優秀な編集者であっても読み切れないからこそ、当たり外れがあるのだ。


それを探る努力をしたいのならすればいい。だが私はそんなことをする時間があるならそれを使って自分が面白いと思う作品を作りたい。その中の一つが<商品>になればいい。


どちらが正しいとか正解とかはどうでもいい。現に私にはそんなものは価値基準の上位には来ない。


私は別に同人作家でもいいのだ。それを、お前達が<商品価値がある>と判断してくれたから、商業作家としての蒼井霧雨があるに過ぎない。


商業的に見てプロであるかどうかは、私の<幸せ>の基準にはないのだ」



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