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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第16章 冒険初心者のキセキ
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質問、そしてあの時

 

 しばらく沈黙が続き、数分くらいで再び彼女は口を開いた。


「....貴方の言う通り、私はあの大会に参加していました」


 彼女、もといアシュさんは認めた。


「私は貴方の質問に答えました。次は私から質問させて頂きます」

「ああ、どうぞ」

「私の思い違いでなければ、貴方もあの大会に出場し私と相見(あいまみ)えましたね」

「ああ、決勝で」

「....アズマど...さんでしたね。憶えております」

「そりゃあ、どうも」


 今何か言いかけた?


「次はこっちが質問させても....」

「これは異な事を仰います。私はまだ質問しておりませんが?」

「.....」


 そう言われれば彼女は完了形で話していた。それに勝手に答えていたのは俺。

 なので彼女はまだ質問をしてはいない。焦りすぎた。


「そう、でした。これは失礼、何分急いでいたもので。つい早とちりをした」

「急いでいられるのなら次で最期と致しましょうか?」

「....お言葉に甘えてそうさせてもらう」

「では貴方は古代イディア文字をご存知なのでしょうか?」

「.....」

「沈黙、という事は肯定と捉えて宜しいでしょうか?」

「....連続で三つの質問」

「.....はい?」

「とりあえず質問に答えよう。古代イディア?とかいう文字に関して俺は知らない。そして....」


 俺は少し間を置いてからニヤリと頰の端を釣り上げる。


「沈黙はただ悩んでいただけだ。最期にしようという提案に返答して乗ったはずだったんだけど、と」

「....私も少々急ぎ過ぎましたね」


 どうやら彼女も諦めて納得してくれたようだ。

 質問は疑問や分からないことを相手に問うことなので、アシュさんはそれらを三回連続で俺に質問した。

 屁理屈にも思えるけれどこれも立派な質問だと思うし、彼女もそれを理解してああ言ったのだろう。

 ちなみに俺はちゃんと彼女の質問に答えているので回数も間違いはない。俺が早ろちりした辺りのは抜いて。


「分かりました。私が知りたかった事は得る事が出来ましたので、次は貴方の質問に答えましょう」

「じゃあ、まず大会の決勝戦の俺と勝負していた時あの観衆の目が向いた中でどうやって入れ替わった?」

「.....」


 実はあの大会で日が沈みかけてから少し経った時彼女の色が変化したのだ。

 ただ彼女が羽織っていたフードローブから視える色の中でその二つの色が色濃く出ていた。つまり常時その二人がフードローブを身にまとっているということ。

 ならそれをなぜあのタイミング、あの観衆の目の中で実行し、成功させることが出来たのか。

 忘れてはいけないのはその場にいた大半が獣人であった、ということ....


「....お答え、出来ません」

「.....」


 マジか。答えないって考えもあったけど本当にそれを選択してくるとは....

 拒否するか?いや、追求したいがこれ以上は危険そうだ。

 僅かだけど彼女は身体を動かした。一見すればただずっと立っているのが疲れたように見えるがキリやサナとの稽古のおかげでだいたいの区別がつくようになった。

 彼女はほんの僅か姿勢を変えただけで、すぐに動ける体勢へ変えた。

 その動きはとても自然な流れだ。並みの腕ではない。


「分かった。言いたくないのならそれで結構。なら次だ...」


 俺は問いただすのを諦めて次の質問へと移った。

 といってもさっきの質問が本命だったので後の方はどうでも良い疑問なので特に気にしていない。


「....さて、質問も終わったしそろそろその先へ行きたいから退いてくれないか?」

「.....本気、なのですか?」

「ああ、ちょっと用があってな」

「失礼ながら言わせて頂くと、それは無謀です」

「無謀、ね....」


 無謀って言葉は今ではなく昔の俺に言ってくれれば納得出来たんだろうなぁ。


「それが無謀じゃないんだ」


 俺はそう言って静かに二十階入り口へと歩き出す。


アシュのセリフで「肯定」と言っていますがもっと良い言い方が思い付きませんでした。違和感を感じましたら、すいません。

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