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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第16章 冒険初心者のキセキ
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用事、そして手前に

 

 二人のことはメルマンさんに任せて俺はとっとと用事を済ませるため再び森へゲートを繋ぐ。

 周りを見るがさっきまでいたトロルとゴブリン達の姿がない。多分逃げたのだろう。


「あ!別にここに繋げなくても良かったんだ」


 最初歩いていたのは時間に余裕があったからだ。

 別に今もそうなのだけれど、やはりあの二人のことが色々気にるので急ぐことにする。

 ゲートをもう一度発動して目的の場へ繋げる。

 ゲートを潜るとそこには懐かしい塔が建っているのが視界に入る。皆から古の塔やダンジョンと呼ばれている塔。

 このダンジョンを攻略してからまだ半年ほどしか経っていないのに随分(ずいぶん)と懐かしい感じがする。初めの頃はゴブリン一体を倒すのにも苦労してたっけな。

 そう昔のことをしみじみ感じたが気持ちを切り替える。

 今回の目的はこのダンジョンの最下層だ。

 さらに正確に言うと最下層に置いてあった転移の机が目当てで来ている。

 魔力を流せば決められた地点へ対象を転移させる机、それが欲しいというか解析?をしたいのだ。

 以前デオルさんに転移系の魔道具はないかを訊いてみたのだが物資などならともかく人間を転移させられる魔道具は知らない、と言われた。

 俺の持つゲートリングは神様がくれた物なのでこの世界に存在しない物でも不思議ではない。

 ならあの机は何なのか?と疑問に思っていた。

 神様にも一応聞いて見たけど「創った覚えはない」と言われたが忘れているだけかもしれない。だってあの神様だからさ。

 まあ神様が置いていないとするならあの机は一体誰が創って誰が最下層(あそこ)に置いていったのかが気になった。

 まして誰も攻略していないとされていたのに、だ。

 実はこのことは数日前に気がついたんだけど忙しくてなかなか来れなかった。決して忘れていた訳ではない!

 という訳でゲートを繋げた先はダンジョンのすぐ近くだ。


「⁉︎」


 ダンジョンの二十階へ行くための入り口手前に見覚えのあるフードを被った人が立っていた。でも思い出せない。

 その人はじっと立っているだけで中へ入ろうとも、戻ろうともせずただ立っているだけ。

 しばらくの間様子を伺っていたが本当に何もしない。お互いにずっと立っているだけの時間が流れただけだった。


「.....私に何か用でしょうか?」


 その人は唐突に声を発した。

 声は女性だな。凛としていて良い声だな。


「何でずっとそこに立っているのかが気になったもんでね」

「.....成る程、もしやこのダンジョンに挑まれるおつもりですか?」

「それは正しい(イエス)であり正しくない(ノー)でもあるかな」

「そうですか、では私から一つ言わして頂きます。このダンジョンを攻略するおつもりなら上から進む事をお勧め致します」


 彼女は俺に背を向けたままそう言う。


「それはあなたがこのダンジョンを攻略したからか?それともそこにそう描かれているからか?」

「⁉︎」


 俺の言葉に彼女は一瞬動揺したように黙ったが、すぐに口を開いた。


「貴方にはこの文字が読めたのでしょうか?」

「文字?さて何のことだか、俺は思いついたことを言っただけで文字なんて一言も言っていないが」

「.....」


 彼女はしばらくの間黙った。

 信用出来るか分からない相手に言うことではないし、何より本当にこのダンジョンを攻略していたとすれば相当の手練れということになる。

 用事を早く済ませたいので面倒ごとは避けたい。

 まあ最初から彼女の言う通りに上から入って行けば良かったと気づいたのはその後だったけど。

 そんなことよりもずっと気になっていたことを訊いてみるか。


「次は俺が質問させてもらう。あんた、数週間くらい前にアルタイル王国で行われた武闘大会に選手として出場していただろ?」

「.....さて何の事でしょうか?」

(とぼ)けるな。あんな戦いをされたら嫌でも覚えるさ、名前は“アシュ”だろ」


 俺がそう言っても別段彼女は動揺を示さなかった。

 だが俺の魔眼によって映って彼女の色は武闘大会にいたアシュと同じ色だ。

 この色を見る力は追跡とかに使っているが、対象が人混みに隠れようとも決して見失わない。それは人それぞれから出ている色は全部違う色なのだ。

 だから見失わないし、間違うことはない。

 だから俺はゲートを通過して彼女の姿を見た時驚いたのだ。


「人ち....」

「人違い、なんてことないからな」

「.....」

「答えてもらうぞ」


 ここまでしつこく訊いているのは彼女があの武闘大会で起こしたことが気になったからだ。

 これは敵だろう訊きたいことなのだ。でなければ納得出来ないからだ。



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