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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第16章 冒険初心者のキセキ
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ピンチ、そして怪我

 

 痛む身体に鞭を打って周りを見回すと、数体のゴブリンが私達を見ています。

 五、七..八体はいます。

 何でこんなに...確かお兄さんはゴブリンは集団で動いていないって言っていました。いてもせいぜい一、二体だと思っていました....

 運が悪いです。

 私は痛む肩を手で押さえながらゆっくりと立ち上がります。


「お姉ちゃんっ!」

「こっちは良いです!今はゴブリンに集中して!」


 ニグが駆け寄ろうとしたのを止めます。その隙を突かれて先にニグがやられるのはマズいからです。

 私の武器は弓でニグは剣。

 本当は私も剣でしたがお兄さんに「弓の方が攻撃の範囲が広いし、何よりニグ君を手助け出来る。使い方は僕が手助けしながらやるから大丈夫だよ」と言われ、お兄さんが預かりました。

 今はそれが裏目に出ています。

 私はまだ一回も教わっていないので上手く扱う事は不可能です。だから私の武器は討伐証の部位を剥ぐための小刀くらいしかありません。

 弓は...重いので捨てます。

 私は小刀を取り出してそれを落とさないように両手でしっかり持ちます。

 ガタガタ震えているのが分かります。


「お兄さんっ!どうしたら良いですか!...お兄さん!」


 大きな声で呼びかけますがやっぱり返事がありません。

 もしかして他の魔獣によって既に....


「返事をして下さい、お兄さん!」


 ダメです。やっぱり返事がありません。


「っ!ニグ!今はここから逃げるわ!」

「でも、報酬がっ」

「そんなの命あってよ!今は生き残るが先よ」

「...そう、だね。分かった!ならせーので後ろに!」

「ええ」

「「せー....」」

「アウォォォォォン!」

「「⁉︎」」


 後ろに下がろうとしたその時です。

 遠吠えのような声が森に響いたのです。


「何、今の」

「お姉ちゃん!あれっ!」


 ニグが指差す方へ視線を向けるとゴブリン達の背後に一本の長い角を額に生やした魔獣(いっかくおおかみ)がこちらを睨んでいます。

 数は二匹。

 嘘...魔獣が魔獣と協力するなんて。聞いた事がありません....

 ゴブリンと違ってあの魔獣は足が速そうです。多分逃げるなんて無理です!


「ガァァァァッ!」

「ガァァァッ!」

「ガァァァァァッ!」

「ガルルルルッ」


 と思いましたが何だか様子がおかしいです。

 新しく来た魔獣とゴブリンが互いに睨み合っているのです。

 そして一体のゴブリンが持っていた槍を構えて攻撃しに行きましたが、それを華麗に避ける魔獣。

 そして魔獣が唸りながら姿勢を低くしました。これは戦闘態勢なのでしょうか?

 なら今のうちにニグに近付きましょう。ゴブリンと魔獣が私達に気が付かないようにゆっくりと近付きます。


「お姉ちゃんっ!」


 しかしニグは私の考えを知らないのと、この状況に対して困惑しているらしく私の事を大声で呼んでしまいました。

 私に駆け寄ろうとしてくるニグを片目に、私は魔獣達の様子を伺います。

 どうやら敵対しているようですね。

 新しく現れた魔獣の方はこちらを見てはいないけど一、二体のゴブリンは私達の方を見てニタァーと笑っています。

 ゴブリンと魔獣が互いに意識が向いている間に逃げようと考えていましたが、それも無理そうですね....

 でも私達が今出来る事は結局『逃げる』しかないのです。ゴブリンの足の速さがどれほどかは知りませんが、賭けるしかありません。

 お兄さんの事も心配ですけど私達よりも冒険には慣れているはずですのできっと大丈夫だと信じます!


「ニグ!逃げるよ!」

「え?でも.....」

「いいから!」


 ニグはお兄さんの事が心配なようでそちらに視線を向けましたが、私が強引にニグの手を引っ張って連れて行こうとします。

 やっぱり傷が痛いですけど、ここはニグのためにも我慢です!


「⁉︎お姉ちゃん!」

「っ!」

「あぐぁっ⁉︎」

「....⁉︎ニグッ⁉︎」


 ニグが叫んだかと思うと身体がドンっと押されました。

 逃げるために姿勢を少し屈めていたのと押された時にニグから手を離してしまったので転びかけましたが、なんとか踏み止まりました。

 しかしそれとほぼ同時に背後から鈍い悲鳴が聞こえました。

 恐る恐る振り返ると苦しそうな顔のニグ、その背後でこちらを見て笑っているゴブリンが視界に入りました。


「おねえ...ちゃん、逃.....げて....」

「ニグッ⁉︎っ!」


 そう言ってニグが倒れそうになったので慌てて抱き抱えます。

 腕を上げたためかなりの激痛が走りましたが、今はそんな事を気にしている場合ではありません!

 倒れてくる時にニグの背中にゴブリン達が持っている槍が刺さっているのが見えました。

 早くこれを抜かないと!

 そう思い槍に手を伸ばします。


「ガァァァァッ!」

「ガアァァァァァッ!」

「ガアァッ!」

「グガァァァッ⁉︎」


 槍に手をやり抜こうとした瞬間、ゴブリンと魔獣達が戦いを始めました。

 魔獣の方が力や動きがゴブリンより上のようですが、ゴブリンは数とそれなりの連携で互角に戦っています。

 しかしよく見るとゴブリンが増えています!

 さっきまでは八体だったはずのゴブリンが今では十一体に増えてます。

 なんでこんなに....いややっぱり今は逃げましょう!

 意識を失ったニグを上半身だけ起こして片腕を引っ張ったまま私はニグに背を向けて背負います。

 重いですね、ニグの武器も()てて行きましょう。

 そう重いニグの剣の紐を外してその場に棄て、ゴブリン達と反対の方へ走り出します。



投稿がかなり遅れてしまい、すいません。

これからも何度か遅れてしまうと思いますが、ご了承の程お願いします。

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