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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第16章 冒険初心者のキセキ
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優しいお兄さん、そして理由

視点変更します。

 

「はぁ、はぁ...っん....はぁ、はぁ、はぁ...」


 ずっと走り続けているからかなり疲れました。でも、止まる訳には行きません!

 今は私は怪我をして動けなくなった弟を抱えながらゴブリンから逃げています。何故そうなったかというと....



 私が弟の“ニグ”と初めての討伐クエストを受けるためにギルドへ行きました。

 ギルド内は怖い人相の人達が騒いでいます。

 昼間なのにお酒を飲んでゲラゲラ笑っている人や自分の討伐した魔獣の自慢をしている人達もいます。

 初めてのギルドで私達はどうしたらいいか分からずオドオドしていました。


「どうしたの?」


 そんな中、背後から優しそうな声が聞こえました。

 私達が背後へ視線を向けると、そこには優しい笑みを浮かべたお兄さんが立っていました。


「あ、あの!私達初めての討伐クエスト受けたいんです!でもここに来たの初めてで...」

「そうかい、なら僕が色々教えてあげようか?」

「「良いんですか⁉︎」」

「うん、勿論だとも」


 お兄さんはとっても良い笑顔でそう言ってくれました。

 その後お兄さんは受け付けで私達をギルドへ申請するやり方を教えて貰いました!

 でも申請する時に背伸びは大変でした...

 申請が済むと優しい受け付けのお姉さんはギルドについて教えてくれました。ルールやランクの上げ方、倒した魔獣について色々。

 ニグも頑張って覚えようとしていたけど、途中から分からなくなったようで目を回していました。

 私はちゃんと覚えました!


「終わったかい?」


 お姉さんからの説明を終えた所でお兄さんが現れました。その手には小さなバックがあります。


「ならこれを持っていると良い」

「これは何ですか?」

「薬草とかで作った薬少しと干し肉と干し魚、それと水袋だよ。冒険者はこういうのは必ず持っているんだよ」

「そうなんですか!皆さん準備が良いんですね!」

「そうだね。冒険者は依頼の内容によっては数日帰れないからこういう簡易の食糧が必須なんだよ。当然薬も」

「あ、それなら私も少しなら...」


 そう言って持っていた革袋から前以て用意しておいた干したキノコを取り出した。


「おぉ、偉いね!でも、キノコだけじゃ身体が保たないし物足りないから干し肉もあった方が良いね。それと怪我の事も考えて薬も持っておこうね」

「は、はい!勉強になります!」


 私が考えていたよりも冒険者は厳しい事が分かった。


「あ、えっとゴブリンのクエストを受けたいんですけど」

「かしこまりました、十分お気をつけて」


 お姉さんがそう言うとお兄さんが外へ行くので私達も付いて行きます。

 受け付けのお姉さん曰く、ゴブリンは北東にあるダンジョンが見える森、“リオルの森”に多く住み着いているそうです。

 なのでそこに行くのでしょう。

 お兄さんは森へ向かう間に私達の事を聞いてきました。

 歳とか家族の事とか、このクエストをクリアしたらそのお金の使い道とかを聞かれました。しかし少し事情があったので失礼でしたがいくつか嘘をつきました。

 事情というのはお母さんの事です。

 数日前に私とニグとお母さんで少し遠くの原っぱまでお出かけした時でした。

 そこはお父さんが生きていた時によく家族で行っていた場所なので半年に一度行っていました。でもその日、怖いおじさん達が現れました。

 お父さんがその人達にお金を借りていたそうで、その事はお母さんも知っていてお金はちゃんと返したと言っていましたが利子と言っておじさん達は引きませんでした。

 私は利子の事はよく知りませんがお金を長い間借りたらその分増えるっとだけ分かりました。

 でもお母さんはその利子も含めて返したそうです。つまり利子があるはずないんです!なのにおじさん達は色々言ってきました。

 そして一人のおじさんがお母さんに暴力を振るいました。そして私達も殴られそうになりましたが、お母さんが私達に覆い被さるようにして守ってくれました。

 そのせいでお母さんは骨が折れたり、身体のあちこちにアザを作ったのですが私達の前では何でもないように振舞っています。

 私はお母さんに守られている時にその人達の手の甲にはイノシシのが描かれていたのを見た事を覚えています。

 警邏の人にお母さんの事を話したのですが、全く相手にしてくれませんでした。後で知りましたがあのおじさん達は“ボアアガロン”という組織の人達だそうです。

 お母さんは怪我で全く動けなくなってしまったので家事は私とニグでやっていました。お店もしばらく休みになりました。

 それに度々お金を取りにあのおじさん達が来ました。動けなくて寝たまま謝るしか出来ないお母さんと蹴り飛ばした時はすごく怒りました。

 ニグがおじさん達に向かおうとしたのでそれを止めて二人で耐えていました。

 私を連れて行こうとした時に大慌てで誰かがやって来て、おじさん達と何かを話し始めました。

 そして表情を一変させて出て行き、その後来る事はありませんでした。一体何が起こったのか分かりませんが助かりました。

 しかし安心したのですが、しばらくしてお金が少なくなってきてお母さんの怪我を治すお薬も買えないし、食糧もなくなってきてしまいました。

 なので私は一人で冒険者になってギルドでお金を稼ごうと思ったのですがニグも行くと言って引かないので一緒に行く事になりました。

 これが嘘をついた理由です。

 お兄さんに話しても良かったのですが、何故か言ってはダメな気がしたんです。

 そんな事を思っている間に私達は森へと着きました。



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