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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第14章 ボアアガロンを捕縛
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大慌て、そして安堵

 

 俺たちは混乱と恐怖を抱きながら目の前の現状を見つめ続けている。


「・・・どうするよ?」

「どうするって放って置く訳にもいかないだろ。幸い今は誰もいないからいいけど、朝になったら確実に騒ぎになる」


 ここは王都の盛んな街から少し離れた場所にあるため、今は人が通っていない。しかし朝になれば王都から他の街へ行き来する商人や冒険者が現れる。

 そうなれば確実にバレて騒ぎになり、酒場にいた俺たちが疑われる。

 疑われて捕まれば明日の戦いに行ける可能性はかなり低い。そうなればもうチャンスはやって来ないだろう。

 かと言って逃げる訳にはいかない。

 神様なら観ていたかもしれないがこういう時に教えてくれるような玉じゃない、なので自分で犯人を捜さなければならない。

 厄介ごとは増える一方。本当に神様は俺に恨みでもあるのではないかと思えてくる。


「とりあえずこの二人を中へ運ぼう」

「隠すのか?」

「ああ、少なくともこの一件が終わるまでは見つかって欲しくないからな」

「犯罪だぞ、小僧」

「分かってるがギルドに説明しても聞き入れてくれるとも思えないからな」

「血は・・・どうするんですか?」

「それは俺が何とかするから、ワオルさんとブルスさんは倒れている二人の移動を、アルは・・・この布で応急処置を、頼めるか?」


 宝物庫から清潔な布を数枚取り出してアルに渡す。今は形振なりふり構っていられない。


「・・・分かった、やるぞ!ブルス!」

「マジかよ、オレまだ女いねえのに」

「その時は・・・その時ですよ」

「小僧・・・」


 三人はそう言いながらも俺が言った通りに動き始めてくれた。

 ありがたいことだ・・・さて、俺も俺の仕事をするとしますか。

 みんなに感謝しつつ、血に手を置きウォーミルを発動させる。血も液体だ、当然凍る。

 凍った血を宝物庫へ一旦入れる。そして先日暇つぶしに作った筒に雷光核を入れた懐中電灯を取り出し魔力を流して照らす。

 そして壁にも跳んでいる血をウォーミルで凍らせて小刀で削り取る。

 他の所も照らして念入りに調べるがどうやら壁にしか跳んでいないようだ。それも扉の高さまでしか。


「おい小僧!あいつらまだ息があるぞ!」

「⁉よしっ!それなら治せるかもしれない!」


 ワオルさんの言葉に喜び、懐中電灯を宝物庫に入れながら急いでアルに応急処置を頼んだ二人へ駆け寄り、治癒核に魔力を流す。両手で治療をしているが俺の魔力量なら問題なく足りる。

 途切れ途切れだった呼吸が次第に安定してくる。

 一分くらいで両方とも呼吸が安定したので魔力を流すのを止める。


「ふぅー、これで大事にはならなくなったな」

「傷が急所を外れていたようじゃぞ」

「それがなかったら俺らは終わってたけどな」

「良かった・・・です・・・」


 全員で胸をなで下ろす。

 今すぐ犯人を追いたいが最悪明日の一件だけは終わらせたい。

 ブルスさんたちの実力はだいたい分かってきているのだが、相手の実力が分からない以上は俺も行った方が万が一の時に能力で何とか切り抜けられる。

 逃げられる可能性も高いがあのボスたちの反応からして戦わされる相手はそれなりに強いのだろうから、念のためだ。

 霧が犯人を捜すまで持ってくれるのを祈るしかないな。


「は、ふあぁぁぁ・・・あ、すいません」


 アルがあくびをしてすぐに恥ずかしそうに俯く。

 まあ深夜に近いから寝むくても仕方がないがな。


「なあ、一息吐いたからせめて小僧達だけでも寝かさねえか?」

「そうだな、儂が起きて見張って置くからお前さんも寝ておけ」

「そうだな、なら交代しながら見張るか」

「お、それは有がてえな」

「なら俺も起きて・・・」

「訊いてなかったのか?お前ら小僧は寝ておけ」

「そうそう」


 ここは甘えておくか。念のためすぐに起きれるようにしておく気だが。


「分かった、アル寝るとしよう」

「は・・・はい」


 そう言って二人で適当な所で横に寝始める。




 その後は特に何も起こらず朝を迎えた。

 ドゥクルが戻って来るかと思ったが昼が近くなっても戻って来ない。とりあえず朝食や昼食を済ませておくことにした。

 昼食を食べる少し前に宝物庫を盗もうとした男たちが目覚めた。

 何か言ってくるかと思っていたが何も言わず一人が昼食を買いに行った。

 外の見張りをしていたはずの二人が中で眠っているのに気がついた時には色々言われたが俺たちもあったことを伝えた。

 まあ納得してなかったけど。

 納得されまいが俺らは事実何もしていない。それは起きた彼らに訊いてもらうしか方法はない。

 ただ彼らが知らないままやられたのだとしたら俺らが完全に疑われるだろうから賭けである。

 そして昼食を軽めに済ませて三十分ほどして昨日ドゥクルと一緒に外へ出て行った男がやって来た。

 彼は何を言うでもなく親指で背後を指さすだけ。その顔には笑みが浮かんでいる。

 俺らはそれに従う感じで外に出るとぼろぼろの馬車がそこにはあった。馬も一頭だけの。


「乗れ」


 男が言うので酒場は俺が先頭で出てそのまま俺が馬車に乗ろうとしたらブルスさんが「安全確認をしてくる」と言って先に中へと入った。

 少ししてから親指を立てながら顔を出してきたので次に俺、アル最後にワオルさんという流れで乗った。

 中も少しぼろぼろだが別に穴が開いている訳でもないのでブルスさんが言った通り大丈夫だろう。そんなことを考えていると馬車が動き始めた。




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