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解除、そして原因

 

 姫様は少し何かを考えてから俯いた。


「この能力って解除で出来ないの...ですか?」

「そんなに賢まらなくても結構ですよ。公式の場でもないのですし」


 顔を上げて笑顔でそう言ってくれた。


「はぁ、ありがとうございま...ありがとう」

「....この力は(わたくし)にもどうすれば良いのか分かりません...」

「え?あー....固有能力は魔力を流すのを止めれば解除されるはずだけど」

「それでしたら先程からやっているのですが、どうにも解除出来ないようなのです...すいません」


 うーん、魔力を流すのをやめても解除出来ないってそんなことあるのか?っと言いたいが現に起きているのだから仕方がない。

 そもそも固有能力は魔力を流さなければ流された分の魔力が尽きれば自然と解除される。


「流すのをやめてからどれくらい経った?」

「確か...五分程でしょうか」

「五分か...」


 物にもよるが王宮全てに能力を使えばかなりの魔力を消費する。


「姫様の魔力量と残りの魔力はどれくらい?」

「少々お待ち下さい...魔力量は四千二百程、残りは一五十程です」


 魔力を流すのを止めてから五分で一五十となると最初にほぼ全ての魔力が流れたのだろう。

 となるとあと二、三分くらいはこの状況が続くかもしれないな。だが未確定なのでこれはまだ言わないでおく。


「にしても姫様、魔力量結構多いな」


 ニーナの二倍以上はあるんじゃないか?


「王族は生まれつき魔力量が多いのですよ」

「そうなのか、少し意外だなぁ」

「そうですか?」

「ああ、あんまり魔力を使いそうにないイメージだったからさ」

「まあ、それは違いますわ。王族程魔力を消費する仕事はありませんわ」

「?何で?」


 そこからは姫様からの説明だが、まず王族は重要書類にサインする時とかには魔力を流しながら特殊なペンでサインするそうだ。

 そうすることで一種の血判と同じ扱いになるらしい。魔力の波長は人それぞれ異なるため偽造などを回避するためにそういう物があるそうだ。

 後はパーティーの時にもいちいち入室の際にも魔力を流してから入る。これも身分の証明と偽物が入室しないように。

 この入室方法は何かと厄介事などを抱えている国にはないそうだ。

 他にも色々と聞いたのだが難しい物や何、それ?って思う仕事や行事ばかりだったので割愛。


「なるほど、王族も大変なんだな」

「もう慣れましたわ」


 そう言って姫様は笑う。

 さて、話し始めてからだいたい十分くらいは経ったぞ。なのになぜ能力が解除されないんだ?

 考えられることは二つ、まだ魔力が残っているか、他に原因があるかだ。

 魔力が残っているのなら吸えばいいだけの話しなのでドレインで吸おうと試みたが吸えなかった。

 理由は不明。

 そうなると原因探しだが、能力が解除されなくなる問題を考えるなら呪いか?いや、それが存在するのかが未確定な以上他の原因を考えると....

 ダメだ、思いつかない。


「どうかなさいましたか?」

「あ、いや...何でもないのでご心配なく」

「はぁ...」


 濁す言い方をして誤魔化す。さすがに姫様に言う訳にはいかない。

 とりあえず一旦落ち着こう。

 まずどうして姫様は能力を暴走させてしまった?

 姫様を捜している途中で無理に神様から聞いた話しだと確か....母親からもらったヘアピンを壊されてだったよな。もしかしてそれが....な訳ないか。


『いや、試してみても良いんじゃないかな』

「うおっ⁉︎」

「どうなさいました⁈」

「あ、いや。考えごとしてて...ははは」


 考えごと中に急に声をかけられ驚きの声を漏らしてしまったのを何とか誤魔化す。不思議そうな表情を浮かべる姫様のことは見なかったことに。


『今絶対笑ってるだろ?』

『さあ、ふふふ』

『はあー、まあいいや。で、試してみろってヘアピンのことで良いのか?』

『ああ、何でも試してみる事は大切だよ』


 何で考えてたことを知っているのかはもうこの際放っておこう。


『でも確か壊れたんだよな?俺は直せないぞ?』

『....まあ頑張りたまえ』


 無責任なことだ。

 うーん...クレイン商会のデオルさんに頼む、のは時間がかかる。まずデオルさんを捜すのにも時間がかかる。

 いや、神様を頼れば大丈夫か。


『デオルさんがどこにいるか教えてくれないか?』

『ふふ、成る程。良い考えだね....デオルなら...』


 神様にデオルさんの場所を聞くとアルタイルの支店にいるとのこと。その支店の場所も訊いてから姫様に一旦帰ることを伝えてから、部屋を出て魔眼と千里眼で姫様のヘアピンを探そうとしたが霧は部屋の中に続いていた。

 部屋の中でぬいぐるみたちと遊んでいる姫様の目を盗んでそのヘアピンを探してゲートで手元に持って来る。

 高価そうな箱に入っていたから本当に大切だったのだろう。

 そう思いながらゲートをアルタイルの路地裏に繋いでからデオルさんの元へ向かう。



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