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別れ、そして緊急

 

 帰りのことをディグリーさんに説明したが、当然ながら驚かれた。しかし少しの間何かを考えていたがすぐに納得したような表情を浮かべた。

 それと大丈夫だと思うが念のためゲートのことは他言無用ということも伝えておいた。

 伝え終わり、時間も時間なので帰ることにした。


「時間も遅いし、泊まっていったらどうだい?」

「いえ、流石にそこまで甘える訳には。それにディグリーさんはほとんど寝ずに俺たちを連れて行ってくれたんだから、ゆっくり休んでください」

「そんな、私は別に...」

「お父さん、アズマの気持ちも考えてあげて」

「.....」

「それに泊まれって部屋もないでしょ」

「そう...だね。すまなかったね、無理な事を言って」

「あ、いや、そういうつもりで言った訳じゃなかったんだけど」

「いいのいいの、さ、帰ろっ」


 サナが俺の背中を押す。

 ん?待てよ?


「いいのか、サナ。ディグリーさんと久々に話さなくて?良かったらゲートで迎えに来るぞ?」

「うーん...また今度にするわ」


 サナは少し引きつった笑みを浮かべながら俺の背中を押して二階へと連れて行こうとするのを続けた。

 サナがいいと言うのなら俺がどうこう言うのはおかしいので止めておこう。

 そう決めてサナに押されるがまま二階へ上がり、家へゲートを繋ぐ。


「それではディグリーさん、また今度伺います」

「楽しみにしていますよ」

「ありがとうございました」

「こちらこそ、ありがとう」

「じゃあね、お父さん」

「ああ、頑張るだぞ」


 そう言ってからゲートを潜る。


 ______________


 そして大会翌日の昼くらいに王宮へゲートを繋ぎ行こうとしたところで神様から念話が入った。


『何?』

『今少し面白、いや大変な事が起こっていてね。出来る事なら王宮から少し離れた所から来てくれないかい?』

『.....ああ、分かった』

『うん、それじゃあアズマ君が来るのを楽しみにしているよ』


 そう言って神様は念話を切った。


「また何か企んでるな....はあー」


 そう独り言を呟いてからゲートを調整して王宮へと向かう途中の道に合わせてゲートを繋げる。

 そしてゲートを潜ると....


「ああ....あ、あ....あ?」


 目の前にはおかしな光景が広がっていた。

 王宮や王宮周りに生えている木々などが不格好なオモチャのような造りで建っているのだ。

 要は絵本などの世界に建っていそうな造りということだ。

 待って、とにかく待って!何でこうなってんの⁈


「......よし、帰るか」

『待って、待って。何で帰ろうとするの?』


 踵を返してゲートを潜ろうとしたところで神様から再び念話が入った。


『いや、この状況見たら帰るだろ?怖いし』

『そうかい?そこまで恐い造りではないと思うけど』

『そうじゃなくて!第一何で王宮がこんな有様な訳?敵襲?』

『いや、敵襲ではない。あった事を説明すると...』


 神様の説明をまとめると、まず王様の娘、姫様が何かでグズったとのこと。それにより姫様の能力が暴走してこうなったとのこと。

 うん、よく分からん。


『んで、俺はどうしたら良いんだ?』

『娘を見つけてくれれば、それで』

『見つけるって、このオモチャの王宮内からか?』

『さて、娘が何処に居るのかは私にも分からないかな』

『えー....!なら姫様の私物か何かを貸してくれ』

『アズマ君、君って人は...』

『人を変人扱いするな。どうせ俺の魔眼のこと知ってるんだろ』

『あらら、バレてかい』


 本当に嫌な神様である。

 魔眼を使えば姫様を捜すことが出来る。本当に便利な能力である。


『それでは贈るね』


 そう言ったと同時に二、三メートル上空にゲートが開き、そこから三段に花が分かれており、花ビラの数カ所に小さな宝石が飾られている。

 色はピンクがメインで内側へ徐々に薄く綺麗なピンクになっている。


『じゃあ、頑張ってね』


 そう言い残して念話を切られた。


「さて、行きますか」


 魔眼を発動させてから王宮への道を歩く。


 ______________


 少女は部屋の中で泣いていた。その少女の周りには熊と猫の人形が心配そうな表情で少女の側に立っている。

 両親はとても忙しく、朝早くから夜遅くまで国のために働いている。

 そのため構ってくれないのは昔からなので慣れてはいた。だから滅多に甘えられなかった。

 姫としての立場上、パーティーや披露宴などにも呼ばれる。そこでも両親とは話すことすら出来ない。

 姫という立場上、自分たちの息子を気に入らせて結婚させようと言い寄って来る貴族の息子の相手。

 それがほぼ毎日のように続けば嫌気が差すのも当然である。

 それが原因で少女の能力は開花した。能力名を『フレント』という。

 初めは周囲の人形にその能力を使っていた。するとその人形たちは命を与えられたかのように動き、そしてしゃべり始めたのだ。

 少女には友達がいなく、その人形たちが少女にとっての友達だった。その友達と会話をすることで何とか不満を抑えていた。

 しかしついさっき、少女の限界を超えることが起こった。

 王宮へ来ていたある貴族の息子が少女の大切にしていた物を壊してしまったのだ。それは母親が少女の誕生日に、と贈った花柄のヘアピンだった。

 それにより少女の能力が暴走してしまった。

 少女の能力は“周りの物をおもちゃへ変える”能力。それによって王宮はおもちゃへと変わった。


「ほい、到着っと」


 扉が開きそう言って男が部屋の中へと入って来た。



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