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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第12章 アルタイルの大会
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終了、そして囲まれ

 

 決勝戦が終わってすぐに表彰式のようなものが行われた。

 まず王様からの一言、次にそれぞれの順位に賞金の授与、最期にアシュにだけアルタイルの王国騎士団への入隊状。

 入隊状には本人の名前、大会の開催日、国王の判が押されているそうだ。

 そして閉幕の太鼓が鳴らされた。

 さてと、帰るか。そういえば神様から何も連絡がなかったってことは安全だったんだろう。

 舞台を降り、キリとサナを捜そうとしたら二人スゴい勢いでこちらへと駆けて来る。


「アズマ! 急いで帰るわよ!」

「え? あ、ああ、じゃあディグリーさん捜さな──」

「お父さんならもう来てるから! 早く!」

「お、おいっ」


 なぜか急いでいるサナが俺の手を取って走り出す。キリも何も言って来ない所を見ると理由は知っているのか?

 そんなことを考えながら通路を抜ける。


「お! 来たぞ!」

「貴方準優勝のアズマさんでしょ⁉︎」

「「「キャーーーーー! 素敵ーーーー!」」」

「え! 何、何、何⁈」

「遅かったぁ……」


 通路を抜けたと同時に大量の獣人の人たちが待機していた。パッと見でも四、五十人くらいで全員若い男女。

 彼らが俺らを見るなり駆け寄って来て囲まれた。

 それに驚きと恐怖で漏らした俺の声と呆れた声を漏らしたサナの声すらも周りの声で()き消された。

 混乱している状態が続き脱出も試みたがダメだった。というか数人のお姉さんたちに腕を掴まれているのでまず出来ない。

 さすが獣人、腕を振り(ほど)こうにも強い力で掴まれている。

 別に力尽くで解くことも出来るのだが怪我を負わせたくない。ということでこれも断念。

 にしても何でこんなに人が集まって来るんだ?


『やあ、アズマ君。大変そうだね?』

『分かっているなら何とかしてくれ』

『嫌だよー、折角面白そうな所なのに』


 そんな理由で断るな!


『ならせめてこの状況が起こった理由を教えてくれ』

『うーん、詳しくは言えないけど。まあ彼らは恋人を捜しているんだよ』

『は? 恋人? 何でこんな所で?』

『そりゃあ人にもよるけど、大会で優勝や準優勝すれば財産はそれなりで王国騎士団にも入隊が可能になるからねえ。早めに手に入れたいからじゃないの』

『ん? 入隊出来るのって優勝者だけじゃないのか?』

『準優勝でも実力があることは証明出来ているからね。通常、王国騎士団に入隊しても大抵は一番下の隊に入隊させられることが普通だからね。それと比べれば準優勝者はそれ以上か多少の優遇を受けて入隊することが出来るから狙われているんだろうね』

『マジかよ……』


 似た話しが昔ニュースでやっていたような。


『とりあえず頑張ってねー』


 そう最後に言って念話は切られた。

 つまりここにいる方々は俺ではなく、俺の財産とかに()かれて今、口説きに来ていると? 少し泣けて来る。

 賞金も目当てにされているそうだが金貨十枚だからそれほど金がある訳じゃないんだが。

 以前神様に賃金比較のためにベガの騎士団の収入も聞いたが、下の方だと月々銀貨八枚ほど。日本円だと少ないがこの世界だと普通に良い額だそうだ。

 つまり金貨十枚でもそれなりの小金持ちなのだ。


「んで、サナ。これどうやって脱出するんだ?」

「前回は何とか逃げ切れたけど……今回は前より人数が多いわね」


 神様と話している間にさらに囲んでいる人数が増えている。それも女性がほとんどに。

 逃げ切れたってことは今回もやろうと思えば出来るということだ。

 何か方法は……うーん、これに賭けてみるか?


「二人とも、目をつむってくれ」


 二人に注意喚起をし、宝物庫からある物を取り出し少量の魔力を流してから上へ投げる。


「うわ⁉︎ 眩し⁉︎」

「目があぁぁっ⁉︎」

「イヤーー⁉︎」

「ああぁぁっ⁉︎」


 雷光核の光によって、それを見てしまった周りの人たちから悲鳴が上がる。


「きゃっ⁉︎」

「何っ⁉︎」


 それにより手の力が弱まり、掴まれていた女性たちの手を解いてキリとサナを抱えてジャンプしてその場を離れる。

 獣人たちは目が良い。だからある程度の光で目眩しとしてちょうど良いと考えた。

 俺は『魔眼』を使わなければ蛍光灯の灯りくらいと変わらない。

 人混みの中心から馬車側の外枠まで抜け、着地と同時に『魔眼』を発動させる。ディグリーさんがいるかを確認するためだ。

 うん、馬の手綱を握りながら目を閉じている。

 それを確認後馬車の中へ入る。


「ディグリーさん、あとは俺がやります」

「え? アズマく、うおっ⁉︎」


 荷台にサナとキリを下ろしてからディグリーさんの元へ行き、手綱を手に取る。

 そして慣れない手つきで馬を操る。

 早く出たのが幸いだったのか、それとも出口をさっきの人たちで塞がれていたからなのか道中にはほとんど人がいなかった。

 そのおかげで変にスピードを出して走らせてしまっても大丈夫だった。

 そして人気がないのを確認後ゲートで省く。


「え? もう、ザクト……? 何で?」


 帰り道をショートカットして早くザクトへ帰って来たためディグリーさんが驚いている。

 逃げるためとはいえ、ゲートを使ったのはまずかったか? でもディグリーさんなら信用出来るし……

 後で説明しないとな。固有能力ってことにしよう。


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