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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第12章 アルタイルの大会
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残り、そしてストップ

 

 あれから時間が少し経ち、舞台に残っている人数は最初と比べるとかなり減った。もちろん俺、キリ、サナは残っている。

 そして観ている時に数人ほど気になる人がいた。

 まず中央よりの端で俺と同じようにほとんど動かずにいる仮面にフードを被りローブを着た人。身長はほとんど俺と同じくらい。大会が始まって少ししてから見かけたが全く動いていない。

 次にある意味気になるのは布で眼のところ以外を覆い、まるで見せないようにしている人。最初はその格好から忍者ぽいっと思ったが全然違った。

 近寄って来るやつはほとんど無視しているが、気のせいかサナの方の敵にばかり喧嘩を売っているように感じた。

 それでいてサナとの距離は近過ぎず、遠過ぎずといった感じを保っているようにも見える。

 次に舞台の端っこにいる人。周りのほとんどが獣人である中その人が獣人ではないというのも少しあるが、それよりも腕組みをして呑気(のんき)に観戦していることだ。

 近づいて来たやつは大抵一発の攻撃で気絶させている。だけど、その攻撃された箇所に......

 最後にあの大柄な男。あいつが一番気になる。身長一九十くらいでボルグさんに負けないほどの筋肉を兼ね備えた、犬耳のあの男はさっきから俺や観客の目を引く動きばかりをする。

 そう、あの男は.....


「うおぉぉぉぉっ! 辞めてくれーっ! 俺は! 俺はっ......おっかねえのは嫌いだぁっ!!」


 そう泣き叫んでいる。

 その見た目とは裏腹で弱む......臆病な性格らしく開始して少し経った頃からずっとあんな状態なのだ。

 しかしそんな男(以後“泣き男”と敬称)の周りにいた数人の男たちは泣きながらも暴れていた泣き男によって場外に投げ飛ばされたり気絶させられ、その場に倒れていた。


「おっかあーっ! 助けてくれーっ!!」


 そう言って自ら舞台から降り、入場した所から外へと走って行ってしまった。それを観ていた者たちは呆気に取られていた。

 と、とりあえず観ていて気になったのはその三人だ。

 まあ、一応全員ちゃんと帯は額に結んでいるのでルールは守っている。


「さあ! 舞台の上に残っている人数は既に八十を切りました! 今回は前回参加していない選手が数人ほど見られます! これはこの後がどうなるのか、期待が高まります!」


 最初のお姉さんは俺らと同じ舞台の上で司会をしていたけど、大会が始まってからは国王がいる所とは反対側の監視塔みたいなところから四、五十代くらいのおっさんが司会というか実況をしている。

 手には特に何も持っていないがまるでマイクやメガホンがあるかのようにはっきりと声が()こえる。

 今度神様に訊いてみるか。

 それにしてももう八十人を切っているのか。早いなぁ。始めの方って何人くらいいたんだ?八百人くらいいたのか?

 俺が脱落させた数が二十五人、うち十人が場外だったかな。

 さて、これからどうたのものか。さっき三人の集団が一斉に襲って来たので全員場外へやって以来俺に向かって来る人がいないという現状。

 サナやキリたちの方も似た感じだが俺と違いちゃんと周囲を警戒している。

 他もそんな感じだな。近過ぎず、遠過ぎずの距離を互いに保ちながら周囲を警戒している。

 これだと決着までまだまだかかりそうだな。


 ______________


 そう思っていたんだけどなぁ。

 舞台の上ではもうさっきの五分の一ほどしか残っていない。理由は観客が数分ほど誰も動かなくなった選手に急かすように叫びまくったのだ。

 そこで数人が動き、やる、やられるへと変わった。

 攻めに行ったやつが倒されると疲れているそいつを狙って襲いに来るやつが、再びやるかやられるかの状況となり、結果数十分ほどでここまで減ったのだ。

 観ていて面白かったのが、猪耳と(たぬき)耳の二人の獣人が挟み込むように一人の馬耳の獣人を襲いに行った時だ。それでその挟まれた馬耳の獣人が狸の方を倒しに行こうした時に運悪く倒れていたやつに足を取られて転ける。

 そこに襲って来ていたやつが馬耳とその倒れたやつをギリギリで反応し、ジャンプしてそれらを避ける。そこへ反対から来ていた猪耳の獣人がジャンプしていた狸耳の獣人の勢いのある膝蹴りを避けられずに喰らい半宙返り。

 着地した狸耳が驚きながらも猪耳と倒れた際に顎を打って気絶していた馬耳の帯を取り「取ったどー」のように上に掲げていたら、誰かが吹っ飛ばした参加者の一人が勝利の余韻に浸って動こうとしなかった狸耳に当たり、数メートルほど一緒に飛んで行った。

 そしてどちらも気絶した。

 この大会では舞台で倒れている人は選手の誰かが場外へ落とすか、目覚めたやつが自分から降りて行く以外ずっと舞台の上にいるのだ。

 むろん帯をしていれば途中から参加も出来るが、積極的に帯を取りに行かず、倒れているやつの帯を取って残っていたやつもいた。

 しかしその人も狙われてしまい、先の数まで減ってしまったのである。

 そんなことを思い返しているとまた違うやつらが争っている。おっ、猫耳がギリギリで帯を奪った。口でだけど。


「舞台上の人数が十六になりましたので皆さん、直ちに戦闘を辞めて下さい! これより、勝ち抜き(トーナメント)戦に移りますので戦いを辞めて下さい!」


 司会がそう言ってから少しして全員の動きが止まった。そして全員が中央へと集まり始めたのでとりあえず俺も向かう。


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