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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第12章 アルタイルの大会
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大会開始、そして様子見

 

 コロッセオは写真でしか見たことないが地球にあるのとほぼ同じ造りになっており、違いといえば中心に円柱型の舞台があることと観客席の一部だけが塀で囲われており、そこに周りとは似つかわしくない絨毯や装飾、豪華な椅子が一つに体格の良い武装した兵士が五、六人ほど立っているぐらいだろう。

 その円柱型の舞台に上がるための階段を参加者と思われる人たちが上って行く。

 直径五百メートルほど、高さ二メートルほどの舞台。観客席の数は......十数段ある石段。それが平行に並んでおり、そこに腰かけて観戦するタイプの様で明確な数はない。

 詰めるだけ詰める。という感じに人でぎゅうぎゅうになっている観客席は、見ていて少し圧感である。

 そんなことを考えていると前の人が止まり、その人にぶつかりかけるがギリギリで俺も止まることが出来た。あっぶな!

 それから少しして豪華でやや動きやすそうな服を着た、堅いの良い犬の獣人があの塀で囲われたところに現れた。

 顔はキリッとしているが、眼光が鋭い。その様は獲物を狙うドーベルマン、いやシベリアンハスキーか?

 うーん、実は狼の獣人とかだったりして?

 『千里眼』でその男性を観察する。


「初めに、シェルネス・ビン・アルタイル国王様より開会の御言葉です!」


 そう司会の女性が言うとどこからともなく太鼓の音が鳴り響いた。

 そしてあの犬の獣人の顔が下からでも全員が見える様に前に出る。


「おほんっ......此度の大会もより素晴らしい物になる事を期待しておる。皆、己の持てる力を出し、大会を盛り上げてくれ」

「「「「「「おおおおおおおっ!!」」」」」」」


 王様の言葉に応えるように拳を上げ叫ぶ参加者たち。観客席からは大きな拍手が起こる。

 その歓声を背にして元の位置へと戻り、あの豪華な椅子へと座る。あの人が国王なら王妃とかも来るのかと思ったが椅子の数的に違うか。

 次に司会の人がルールを説明してくれた。

 サナに聞いたこともあるが他にも、

 ・道具、固有能力の使用禁止

 ・場外に出た後にこっそり舞台に戻るの禁止

 ・帯を結び直すの禁止

 ・帯への小細工禁止

 ・帯を取られたり、場外に出た場合速やかに移動し退場

 などもあるそうだ。

 まあ上の三つがだいたい重要なルールだそうだが、道具と固有能力の使用禁止か......流石に言語系の能力は許して欲しいな。じゃないとこっちが大変だ。

 それと神様からもらったこの指輪も許してもらいたい。ゲートを使うつもりはないが、外す訳にもいかない。


「それでは受け付けの際に渡されました、こちらのを帯をご用意して下さい!」


 司会の人が手に何かを掲げながら言う。何を持っているのかはっきりとは見えないが、この帯だろう。そう言っているし。


「こちらの帯を......このように結んで下さい!」


 司会の人が帯をどこかに結んだようだ。うーん、見えない。

 これは仕方ないか、と目を凝らして『千里眼』を使う。

 猫耳のお姉さんが帯を額に巻いていた。

 これって......


「......それでは十数えますので、数え終えましたら合図と同時に始めて下さい!」


 お姉さんが周りの様子を見てから、カウントを数え出す。すると一気に周りから人の塊がなくなり、みんな舞台に散乱して行く。


「......二!......一!......始め!」


 お姉さんがそう言うと太鼓が盛大に鳴った。

 それと同時に観客席と周りからうるさいほどの声が響き始めた。

 周りの様子を伺っていると、みんな額に巻いた帯を取ろうと攻めたり、逆に受け流したり(かわ)したりしている。

 なるほど、つまりこの大会って......


「......いただきっ!」

「っと、帯を取れば良いんだよな?」

「! このっ」

「危ないな、爪は切っとけよ。怪我するだろ」


 背後から俺の帯を取ろうとして来た犬のおっさん。しかし足音が近づいて来たのが分かったので簡単に避けれる。

 そして振り返った彼に接近し、頭へと手を伸ばす。が、咄嗟に腕を振るって近づくのを拒否される。

 彼の手から伸びる長い爪は、もはや果物ナイフを向けているようなものだ。


「この餓鬼」

「ほら、帯はもらったから早く退場してくれ」

「え⁉︎」


 再びこちらへ向かってくるおっさんの頭から取った帯を見せる。すると彼は額を触り、自分の帯がないことに気がついた。これでこの人は脱落っと。

 多分俺の予想で合っていると思うけど、これってつまり、地球の騎馬戦とかの“鉢巻取り”だろ?

 これを国王が考えて大会にするとは......


「へへへ、小僧。大人しく俺に帯をわた──」

「......確か場外でも良いんだよな」

「ぐふっ⁉︎」

「がっ⁉︎」

「ぐっ⁉︎」


 典型的な登場と物言いをしていた男の腹を少し強めに蹴ると思った以上に吹っ飛び、そんな彼の背後にいた運の悪い二人の獣人も巻き込まれて全員仲良く場外へ吹っ飛んで行った。ギリギリ壁に当たらないところで落ちる。

 強過ぎたか。もっと手を抜かないと大変なことにそうだ。そう反省しながら、周りの様子を窺う。

 キリとサナを見かけたので、少しそこで目を止める。

 女の子だからなのかどっちにも数人ほど周りに人が群がって囲っている。多勢に無勢の様子に助けようかとも思ったが、そんなことは無用だとすぐに思い知らされた。

 その周りを囲っていた男たちは次々と倒されるか、投げ飛ばされて場外、もしくは地面に落とされた。帯を取るルールのはずが、ただの組み合いになっている。

 うん、大丈夫そうだな。


「おらぁぁっ!」


 彼女たちの戦闘を観戦していると、また一人の男性が横から突進して来る。

 身長高いな。百八十五くらいか?


「! おっと、危なか──」

「終わりじゃないよ」

「しまっ⁉︎ うあぁぁぁっ⁉︎」


 こちらに突っ込んで来た兎耳の男の足を(かが)んで払おうとしたが狙った足を上げて避けられてしまった。

 しかしそれだけでは終わらせず、空ぶった足払いを空中で無理矢理地面に落とす。そうして男の近くまで前に出た足にグッと力を入れて、身体の重心をそっちの方へ持っていく。

 終わりだと油断していた男との距離を一気に詰め、その上げた足が完全に地面に着く前に足首を掴む。

 男もその動きには反応出来ず、掴まれたと理解して足掻(あが)こうとするもその前に再び重心の移動させてぶん投げる。

 適当に方向へ投げたが場外まで飛んでいた。


「なんだあの子ども! 人間をあんな距離まで投げたぞ⁉︎」

「あんな子、前はいなかったわよね?」

「さっきのやつ何で飛んでったんだ?」

「見てなかったのか! あの小僧がぶん投げたんだよ!」

「そんな訳あるか!」

「マジだって!」

「大人を片手で投げるとか、能力使ったんじゃね?」

「何かの見間違いじゃないの?」


 などと観客席からの声が聞こえて来る。

 さて、どうせ帯を取りに相手から来るだろうからそれだけ相手していれば良いか。他の選手も気になるし。

 


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