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異世界に転生したのでとりあえずギルドで最高ランク目指します  作者: りゅうや
第12章 アルタイルの大会
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依頼、そして勘違い

 

 夜襲が起こった日から数日経ったとある昼下がり。神様に来てくれと言われたので嫌な予感を抱きつつもゲートで王宮へ向かった。


「それで、今回の用件は?」

「先日の事についての報告と依頼かな」


 そうか、じゃあ報告だけ聞いて帰るか。


「あ、念のため先に依頼を話してから報告を話す事にするよ」

「(チッ)」

「ふふふ......さて今回の依頼はアルタイルで開かれるある大会に出て欲しい」

「......それだけ?」

「それだけ」

「優勝しろとかでもなく?」

「うん」

「どんな大会なんだ?」

「アルタイルで毎年開催されている伝統的な大会らしくてね。優勝すればアルタイルの騎士団への入団や昇格のチャンス、賞金とかも得られるからかなりの人気だそうだよ」

「そんなに待遇が良い大会なら街中じゃ済まなそうだな」

「鋭いね。と言ってもこの大会は元から国中から集まるし、腕試しや腕自慢をするために他国から人が来るから大会というよりはお祭りの方が合っているかもね」

「まあ、大変そうじゃないし受けても良いか」

「うんうん。アズマくんなら受けてくれると思っていたよ」


 神様は笑顔で首を縦に振る。


「依頼はそれだけか?」

「そうだね......今のところはこれだけで良いかな」


 今のところ、か......


「はあ......で? この間のことについては?」

「ああ、それもあったね」


 本当に思い出したような顔をする神様。ワザとなのか素なのか......

 神様の報告とはやはり副団長の夜襲についてだった。

 デービッドが起こした夜襲は殺人未遂となるらしく重い刑は財産の没収と鉱山送り、もしくは追放となるらしく、今回は財産の没収と追放になったそうだ。

 夜襲の件をデービッド父が揉み消そうとしたが証言(・・)があったので出来なかったそう。

 それだけではなく、俺のランクは銀。銀ランク以上はそれなりの待遇ということは聞いていたが、今回のような夜襲は例えるなら貴族が貴族を殺そうとしたのとほぼ同じになるそうだ。

 なのでデービッドだけでは済まず、彼の家族にも刑が執行されることになったそうだ。デービッド父は爵位の剥奪もされたそうだ。

 これで報告は終了とのこと。


「お疲れ様だったね」

「そう思うならなんとかしてくれ」

「ははー、人間の感情を左右させる事なんてしないよぉ」


 以前洗脳らしきことをしていた気が......

 神様からの報告も聞き終え、他には何もないとのことなので帰ることにした。


 ______________


 神様からの依頼を受け、みんなにアルタイルに行くことを伝えた。

 今回はキリとサナとで来ている。どっちもその大会に出場するということで同行。ニーナは「苦手なので」ということで来なかった。ユキナもそっち系の大会だったため辞退。

 サナにその大会について聞いてみた。

 ルールは簡単で相手の帯を奪い取る。場外、自分の帯を取られる、相手を殺すなどで敗北になるそうだ。

 ちなみにこの大会は身体能力だけではなく頭脳戦にもなるそうなので、力がそこまで強くない人も参加することがあるそうだ。


「久しぶりだなー」

「そうね」


 久しぶりと言っても五ヶ月ほどしか経っていないのだがそう感じた。


「ところで大会ってどこでやるんだ?」

「コロッセオでやるわ。ここからだと馬車で四日くらいで着くわ」

「コロッセオ?」


 コロッセオてあのローマにある観光地の一つでもあるあのコロッセオ?


「じゃあ、とりあえずは馬車を拾わないとな」

「でも港街(ここ)だと空いている馬車なんてそうないわよ?」

「マジで⁉︎」


 早くも出鼻をくじかれた。

 こうなると全員で走って行くか俺が先に行ってゲートを繋ぐか馬車を買ってそれを使うしか方法はない。


「サナァ!」


 俺たちが四苦八苦していると背後から聞き覚えのある声がしたので振り返る。そこには......


「お父さん!」


 サナはそう叫ぶと駆け出した。

 声の主はサナとニーナの父親、ディグリーさんだ。


「サナ、どうした? 帰って来たのか?」

「違うわ、依頼で来ているのよ」

「ニーナは?」

「アズマの家にいるわ」

「おお、そうなのか」


 ニーナの不在に少し残念がるディグリーさん。しまったな、参加云々なしでも父親に会いに連れてくれば良かったな......

 そう悔やんでいるとディグリーさんがこちらへとやって来る。


「やあ、アズマ君。久しぶりだね」

「お久しぶりです」

「君の事は娘から手紙で聞いているよ。冒険の事やお友達の事、二人が君の家に一緒に住んでいる事などもね」


 ん? 顔は笑っているのに最後だけ気のせいか声が少し低かったような。


「君の事は信頼しているよ」

「ど、どうも」

「娘達を悲しませたら......分かっているかい?」

「は......はい......」


 耳元でささやくように言ってきたディグリーさん。少し怖い......


「はは、冗談だよ。娘達を頼んだよ」

「は、はい......」

「何してるの?」

「なんでもないよ。ところでさっき馬車がどうのと聞こえたんだけど」

「あ、そうだった。大会に参加しに来たの」

「ん? でも確かあの大会って、三日後じゃなかったか?」


 ......え?


「あれ?大会って五日後のはずじゃ......」

「今年だけ二日早くなるって前回の終わりに言われたろ」

「ああ! 忘れてた! ご、ごめんなさい! 私、勘違いしてたみたい」

「気にしなくていいよ。依頼は断れば良いしさ」


 どちらかと言えば日付けギリギリだったのを依頼した神様が悪いんだからな。


「ふむ......少しここで待ってなさい」


 そう言い残してディグリーさんはどこかへと駆けて行った。

 どうしたんだ?

 数分してディグリーさんが戻って来た。馬車に乗って。


「お父さん、その馬車って仕入れ用の......」

「そうだよ。でも今はそんな事は置いておいて、今から行けばギリギリで着けるはず。さ、乗りなさい」

「でも仕事は?」

「一週間くらいの稼ぎならなんとかしてみせるさ。だから気にせず乗りなさい」


 俺たちは互いに顔を見合わせてからディグリーさんの案に乗ることにした。

 ふっふっふっ、実は密かに馬に乗る練習をしていたのだ。怪我しても治せばバレないからな。さあ、今回から俺も馬を操れるぞ。


「よし! ここからは私が徹夜で操縦するから、安心していなさい」


 え? あれ?


「そんな無理しなくれも」

「これくらい大丈夫だよ。それに娘が困っているのに助けない親がどこにいる。さ、出発するよ!」


 もしかして俺が操縦するのオアズケ?

 そんな俺の気持ちなど気にすることなく馬車は動き出した。


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