質問タイム、そして特色
抗いようがなくなってしまい、渋々ゲートの使い方を教えた。
行きたい場所を強くイメージしてから指輪に魔力を流す、というシンプルな内容だから特に質問もないと思っていた。
しかし──
「どれくらいの描写を思い浮かべれば良いのですか」「人ではダメなのですか」「流す魔力量は」「他人を通すために必要な条件などはありますか」「使用者、他者への悪影響は」……
などの質問が次から次へと飛んでくる。
大事なことなのは分かるが、時間がないはずなのに今質問する量ではなかった。
「それでは失礼して──ゲート!」
結局十分ほどの質問タイムを終え、コランドが声を弾ませながらゲートを開く。
人が横並びで通れる大きさの輪が宙に出来、その先の景色が歪んでいる。
「(へー、他人が使うと先はほとんど見えないのか)」
俺が開いた場合は先の景色が薄っすらと見える。しかし目の前のゲートではどこに繋がっているのかを把握出来ない。
ある意味こちらの方が対人や誤って向こう側に人が居てゲートの輪を見られても秘匿性があるから解り難いし、使い勝手が良いかもしれないな。
「(色が違うのも面白い)」
ゲートの縁には本人のと同じ色の霧が僅かに漂っている。普段から同じ色しか見ていなかったので、これも新事実だが使い所は大してない。
ゲートについての情報を更新しているとコランドが混濁する膜に恐る恐るペンを通し始めた。
「(経験していても未知の物だもんな)」
それを何度も出し入れを繰り返して安全であることを確認し終えたらしく、彼がこちらを向く。
「それでは先の確認をしてください」
「……ん? え、俺も行くの?」
「当然です。向こうで不祥事が生じた時に守っていただきます」
「俺子供なんだけど……」
「でも私より断然強いです。それに手配書を拝見しましたが、あなたがキリサキであるなら十五歳は迎えているでしょう?」
「……でもまだ子ど──」
「頼みましたよ」
行きたくない。コランドがいなくなるなら刑法官たちに自白剤を飲ませてことの顛末を聞き出したかった。
ただ、使えば廃人になると言われたので躊躇いもあった。躊躇っている場合でもないのだけど。
それに身体も痛いので動きたくなかったという思いも少しある。
「……分かった。同行する」
しかしこれ以上は駄々をこねても通用しそうにないので大人しく従う。
「(そういえばここに天眼を置いてゲートを潜ったらどうなるんだ?)」
彼が開いたゲートを潜ろうした所で不意にそんな疑問が湧く。
今まではゲート先に顔を出してから『千里眼』でイメージ出来るようにしてを繰り返していたけど、置いて行くというのはやっていなかった。
「(ついでに実験だけでもしてから行くか)」
解決出来る疑問は即解消するに限るため、『天眼』を首長の部屋に残してからゲートを潜る。
遅くなり申し訳ございません。
次回から少しばかり早く投稿できるよう努めます。




